第9話

「ちょっと一緒に図書館来ない?」

 

 生徒会室に来たサブマとリーリエがパフェを楽しんでいた僕に話しかけてきた。


「……図書館?」

 

 僕はサブマの言葉に首を傾げる。


「そうそう。ちょっと調べたいことがあるんだよね。……それについて来てほしいなって思うんだよ」

 

「なんで、僕が?」


「いや……友達だし、いいじゃん?」


「一緒に行きましょうよ!ミリアさんも良いですよね?」

 

 リーリエが僕の側でぼーっと立っていたミリアへと視線を向けて告げる。


「えぇ。そうですね。……エルピス様もずっと生徒会室に居ますから……外に出ても良いと思いますよ?」

 

 ミリアが僕へと視線を向けながら言葉を告げる。

 その視線は少しだけ毒々しい。 


「み、ミリア?」

 

 そんなミリアの様子を見てサブマは困惑したような声を上げる。

 ミリアが敬語で、なおかつこんなに無表情なのは生徒会室、僕の前だけなのである。

 ミリアは人と関わる際、作り笑顔を浮かべて明るめな声を出して話す。

 まぁ、ミリアは基本的に誰とも関わらないようにしているんだけど。


「あぁ。私の素はこちらですので。お気になさらないでください。エルピス様の前で笑顔を浮かべるのは屈辱の極みですので」


「え、あ……うん」


 サブマはミリアの言葉に頷く。

 その表情は困惑に染まっている。


「なるほどね……ミリア。笑顔を浮かべろ」

 

 僕はミリアの方へと視線を向け、告げる。


「……これでよろしいでしょうか?」

 

 ミリアの方へと視線を向け、僕は告げる。


「ふっ……。その表情のまま『一緒に図書館へと来てほしいな。にゃんにゃん』と言うがよい」


「……くっ」


「エルピス様には女の子にそんなことを言わせる趣味があるのですか?仕方ありませんね……それでは私がやってあげましょう」


 何をトチ狂ったのか、リーリエがそんなことを告げる。


「いや、お前がやっても何の価値もねぇよ?やるのが嫌なやつに言わせるのが良いんだろうが」


「えー……なんで……」

 

 リーリエが僕の言葉に膨れる。


「で?どうぞ?」


「くっ……一緒に図書館来てほしいな。にゃんにゃん」

 

 ミリアは屈辱に満ちた表情で告げる。

 

「ふっ……良いだろう」


 僕はミリアの言葉を聞いてほくそ笑む。


「じゃあ図書館の方へと向かおうか」

 

 生徒会室に置かれているソファから僕は立ち上がり、告げた。

 

 ■■■■■

 

 無人の生徒会室の扉を上げる。


「ごめーん。少し遅れちゃったー。みんなやっ……ほー?……え?」

 

 誰も居なくなった生徒会室にアルハの言葉がこだまする。


「……え?みんな……?」

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