第8話

「くぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」 

 

 裏路地にサブマの苦悶の声と僕の笑い声が響く。

 ちゃんとあの激辛パフェを食べきったサブマは顔を涙やら鼻水やらでグチョグチョにしながらうめいていた。

 ちなみに店員さんは激辛パフェを食べきった人は初めてであると絶賛していた。


「お、おぉ……大丈夫か?」

 

 そんなサブマの介護はアルミスが行っていた。


「……あ、あぁ」


 サブマは息も絶え絶えになりながらアルミスの言葉に頷く。 


「それですね……なんとラザリアが見事に川に落ちてしまいまして」


「ほう……実に珍妙にして滑稽な状況になっているではないか。僕もその姿を鼻で笑いたかったな」

 

 そんな中、僕とリーリエは雑談を楽しんでいた。

 ……うーん。少し長いかな。

 最初は面白かったのだが……なんかもう今は飽きたな。


「さっさとしろ」

 

 僕はサブマへと魔法をぶつける。

 体で悪さしている痛みと刺激だけをピンポイントで空間魔法を使って消し飛ばし、元の正常な状態へと戻してやった。


「これで良いだろう?」


「おぉ!」


「いや、最初からこんな便利なことが出来るならしろよ」


「何故?」

 

 僕はアルミスの言葉に首を傾げる。


「あー!さっぱりしたぁ!」

 

 サブマがグチョグチョになった顔を洗い流し、大きな声で告げる。


「それなら良かった。じゃあさっさと帰るぞー。これ以上の長居は無用。飽きた」


「相変わらずの傲慢だことで」

 

 僕たちは帰路に着く。

 早く帰ってミリアの作ったパフェを食べたい。

 

「ご、ごめん……それで一つだけ聞きたいのだが……」


 途中でサブマが僕の袖を引っ張り、他の二人とは少し離れたところへと誘導してくる。

 

「ァ?」


「こ、これだけ教えてほしい……ミリアとは一体どういう関係で……?」


 サブマはオドオドとしながら僕へと尋ねてくる。


「あぁ」

 

 そういえばミリアは主人公の初恋の相手だったな。

 ……ミリアを小間使いとして活用しすぎていて忘れていたぞ……。


「別に深い関係でもなんでも無いとも。お前の存分に恋路を楽しむと良い」

 

「本当か!」


 ミリアは僕のことを嫌っている。

 別に僕もミリアを落とすつもりはない。

 ミリアと僕がくっつくことはないだろう。

 こんなことでサブマと敵対する必要はない。

 ミリアに対してサブマは好きにアタックすればいいと思う。僕はそれに対して何もしない。

 ……まぁ、復讐に取り憑かれているミリアが男になびいている姿は想像出来ないんだけど……。

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