第46話

「え?ついてくる?」

 

 僕の言葉に生徒会長が首を傾げる。


「うん。この後南がぐちゃぐちゃになるから……辺境伯として頑張ってね」


「……ふえ?」

 

 生徒会長が僕の前でアホ面を晒す。


「ん?わからなかった?ほら、最近僕が南の貴族を見せしめで殺したでしょ?それに加えてあのおっさんの心を完全に砕いて上げたから、もう誰も南の貴族を庇わない。……南の貴族は軒並み壊滅。そして、巨大な空白地帯が出来上がる。まぁ、そこは王家の直轄地になるのが通例だけど……君ならその空白地帯を受け継ぐことが出来ると思うよ。あのおっさんは君に辺境伯の地位を譲るだろうしね」

 

 僕は生徒会長に告げる。


「ちょ、ちょ、ちょっと待って!?全員が置いていかれている!何が!?何が起きているの!?」

 

 アルミスが僕の言葉を遮る。


「えー?何が起きている、って言われても目の前で起きている通りなんだけど……」

 

 僕はアルミスの疑問にそう答える。

 ……割りと流れはわかりやすかったと思うんだけど……。


「いや、何が起きているのかわかる!だが!だが!新事実!強烈な展開!それらにやられているんだ!もう一度言うぞ!何が起きた!?何が起きたんだ!?」


「ふー」

 

 僕はアルミスの言葉にため息を吐く。


「仕方ないなぁー」

 

 開示できない情報はアレイスター家とは何かについてとアレイスター家の今後の動きについて。

 アレイスター家の真実には決して辿り着けないので、知られる心配はない。たとえ、僕がどれだけ暴れたとしても。

 まぁ、今回の件についてすべての情報を開示しようか。

 ……生徒会全部を巻き込むつもりだからね。

 

「えっと……まずはねー」

 

 僕は今回の件について話し始めた。


 ■■■■■

 

「ぜ、全部、想定どおり……?」

 

 僕の話を聞いたアルミスが畏怖と共に声を漏らす。

 今回起きたことは全部僕の想定通りである。辺境伯が来るのも知っていたし、辺境伯の態度も想定通り。

 これから起きることも全部僕の想定通りに進むだろう。

 まぁ、イラッとしてわざわざ必要ないのに首を跳ね飛ばしちゃったりしたけど。まさかあの毒を本当に使うことになるとは思わなかった。


「あぁ、そうだ。悪かったね。生徒会長。利用しちゃって」

 

 僕は生徒会長の方へと視線を送る。


「え……あ、うん。良い、よ?」


「おう」


 僕は全身から力を抜き、ソファの方へと体を預ける。

 はー。疲れた。疲れた。

 もう二度と仕事モードになりたくなーい。人の感情を完璧に把握するとかめんどい……また、というか本当に大変なのはこれからなんだけどさー。

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