第37話

「ほいっ」


 僕はうちの監禁施設に奥さんと娘さんを放り込む。

 ちゃんと回復魔法で傷つけた部分は回復させて。


「起きてください」

 

 僕は二人に水をかけ、起こす。


「う……ここ、は……」


「あ、あなたは一体……!?」

 

 起きた二人は未だ困惑しているようで、奥さんは仮面を付けずに素顔を晒している僕を見て驚愕の声を上げる。

 落ちこぼれでしかないアレイスター家の息子の顔など侯爵家の夫人、娘が知らないのも無理はないだろう。


「あぁ。これでわかるでしょう?」


 僕は両目を光らせる。


「ヒッ!?あのときの!?」

 

「ぴゃ」

 

 奥さんと娘さんの表情に恐怖が浮かぶ。


「まぁ、言いたいことが奥さんならわかるでしょう?」

 

 僕は奥さんへと笑顔を見せる。

 

「……ッ!?な、何を言っているのか……」


「あぁ、別に知らないふりをするのであればそれでも構いませんよ」

 

 僕は魔法を発動させ、鉄バットを生成する。


「こうするだけですので」


「ァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 僕は娘さんの足に向かって全力で振る。

 娘さんの耳をつんざくような悲鳴が上がる。

 

「レアッ!!!」

 

「言わないと言うのならば好きにさせてもらうだけですよ……確か娘さんに婚約者は居ませんでしたよね……処女でも貰っておきましょうか?」


「ヒッ!?……い、嫌……やめて……」

 

 娘さんの表情が恐怖と絶望に支配され、涙を流す。


「辞めてッ!全部話すから!だから!だからレアだけは」


「はい。そうです。最初からそれで良かったんですよ」


「私たちは王家へと反逆しようとした!反逆を企てた!で、でも!それは中央の貴族が不当に我々の税収を多く奪うから!そのせいで我々の領民は飢えていて!」

 

 奥さんが涙を流しながら叫ぶ。

 全く国王様には利権しか考えていない貴族共を一掃してもらいたいものだ。……まぁ、傀儡でしかないあの男では無理だろうけどさ。


「協力感謝しますね」

 

 僕は奥さんに笑顔を向け、そしてすぐに娘さんの頭へと鉄バットを振って気を失わせる。


「なっ!?なんで!?」

 

「あぁ、その程度の情報既に掴んでいるんですよ。これは見せしめです。あなた方は醜悪な肉塊となるのです」


 安心しろ。せめて苦しむことなく終わらせてやるよ。

 僕は奥さんの頭にも鉄バットを振り下ろした。


 ■■■■■ 

 

 後日。

 侯爵家のもとに森の中のとある小屋の絵が送られてくる。

 その絵を頼りに捜索の果てに見つけられた小屋。

 そこに突入した侯爵家の騎士たち。


 彼らを迎え入れるのは酷い悪臭。


「ァァァァアアアア」


「ァァァァアアアア」


 そして、彼らが見つけたのは血と膿を溢れさせる醜悪な肉の塊だった。

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