第33話

「んっ……あぁー」


 窓から入ってくる陽の光に当てられ、目をこすりながら僕は起床する。


「おはよ」


「んぅー。おはよー」

 

 隣で寝ていたエウリアが僕に向けて言ってくれたおはようの挨拶を僕も返す。

 

「ふわぁー」

 

 僕はゆっくりと体を起こし、背を伸ばす。


「ふふふ。本当に朝弱いわよね」


「んー」

 

 仕事モードのときなら一瞬で切り替ることが可能なのだけど……プライベートモードだと上手く切り替えが出来ない。

 ずっと寝ていたい……布団が僕を離さない。エロゲのイベント開始を知らせるアラームがないと動けない。

 わふっ。


「ほら、ちゃんとしなきゃだめよ?」


「ん」

 

 僕はあくびを噛み殺しながらベッドから降りる。


「さっさと朝ごはん作るかー」


「手伝うわよ」


「別に良いよー。朝、やることもあるでしょ?身だしなみ関連で」


「……ふふふ。いつもありがとねー」


「ん」

 

 僕はキッチンの方へと向かい、エウリアは洗面所の方に向かう。

 時間の概念が存在しない別空間から卵、パン、レタス、マヨネーズ、ベーコンを取り出す。

 魔法で炎を起こし、卵とベーコンを焼いていく。

 ジューッと言う音を上げ、油が跳ねるべーコンと、とろとろの卵をぼーっと眺める。

 頃合いを見て卵とベーコンをお皿の方に盛り付ける。


「よいしょ」

 

 パンに切れ目を入れ、中にマヨネーズを塗ってからレタス、卵、ベーコンを差し込んでサンドイッチを作る。

 一人二個。

 僕、エウリア、ミリアの分で計6個。


「いつもありがとうございます」


 僕が作り終えた段階でミリアが起きてくる。

 それと共にエウリアも洗面所から戻ってくる。


「デザートのパフェは私が作りますね」


「うん。お願いね」

 

 僕は空間魔法でお皿に乗せたサンドイッチをテーブルの方へと飛ばす。


「んじゃ、食べようか。いただきます」


「「いただきます」」

 

 いただきますの文化はこの世界にもある。エロゲの世界だし。

 元々の文化は日本寄りだ。中世の世界がモデルなのに。 

 しばらくの間食べていると、ラザリアが自分の部屋からこちらへとやってくる。


「さいてー」

 

 そして、ラザリアはエウリアの方へとちらりと視線を送った後、視線を僕に戻してそう呟く。

 その後はすぐに外へ出ていく。

 

「おはよー!」

 

 そして僕がパフェを食べているところに、マルジェリアが起きてくる。


「ラザリアは?」


「もう外だよ」


「がーん」

 

 僕の言葉を聞いて、マルジェリアは崩れ落ちた。

 んー。なんでこいつはこんなにもポンコツなのだろうか、はよ起きろや。

 わざわざメインルームに毎日来ているラザリアが可哀相だ。

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