第30話
「……え?」
呆然とアルミスが言葉を漏らす。
「演技……?」
「うん。演技だよ?」
僕の平然とした言葉。
「「「え?」」」
それに対してエルピスだけではなく、この場にいた全員。
アルミス、ミリア、生徒会長の言葉が揃った。
……え?嘘でしょ?
「アルミスはともかく二人はなんでそんなに驚く……?別に僕の目的とかもちゃんと話しているでしょ?」
「いや、演技って……あのドSも……?」
生徒会長の驚愕の言葉。生徒会長のその言葉に対してミリアもうんうんと首を縦に振る。
「あぁ、そういうことか。それなら大丈夫だよ?Sっ気があるのは普通に僕の素の性格だから。演技でも何でも無い」
「「「ほっ……」」」
僕のドS宣言に三人が安堵の息を漏らした。
「……Sですよ宣言に対してほっとするのもどうなの?」
安堵の息を漏らす三人に対して僕は首を傾げる。
本当にどうなんだろうか。
色々と僕に対して失礼な気がする。
「演技しているのは口調だよ。僕の普段の口調は殺したくなるほどウザったい偉そうな口調じゃない。普段のは、殺したくなるほどウザったい、どちらかと言うとガキよりの口調だからね」
「……なるほどね。なぁ、なんでわざわざあんなに偉そうな口調で話しているんだ?別に普段の口調でいいじゃないか。見た目は小さくて可愛いんだから、普段の口調の方が見た目にあっているし、周りも受け入れてくれると思うんだけど」
「……あぁ、偉そうな口調の方が色々と都合が良かったんだよ」
「都合が……?」
僕の正体。
その核心にまで迫ることができていないアルミスは首を傾げる。
「ふふふ。僕は暗殺者だからね」
「そんなことは知っているよ!とっくに!……暗殺者ならば普通に考えて偉そうな口調で話して、目立つ必要はないよな?……陽動。暗殺対象へと近づく。辞めたい。SOS。反逆……」
「ほい」
「いった……何!?」
悩み込んでいるアルミスのおでこを僕はデコピンで叩き、思考をこちらへと向けさせる。
今更なことに悩んでいるんじゃないよ!
すごく前に僕の一族が姿なき王であることは話したよね?
「君には正体を明かさないよ。君だけは絶対に真実へとたどり着くことは出来ない。……だが、君にとって僕が最強の暗殺者である。そして、僕の一族は暗殺者が多い。この情報だけで十分であろう?」
アレイスター家とは何者なのか。
最も重要であるこれを知ることが出来ないアルミスでは一生辿り着けない。
他の人間であれば最も大事なこれに気づく可能性があるが、アルミスだけはない。ありえない。
「……はぁー。君が俺の唯一の理解者だと思うと辛いところがあるな」
深々とため息を吐いたアルミス。
「何の話だ?」
それに対して生徒会長が首を傾げる。
「黙れ、お前が知る必要はない。ご主人さまに任せておけ」
「はい!」
僕の言葉に生徒会長は素直に頷いた。
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