第25話
「ちわーっす……って!?何この匂い!?」
生徒会室へと入ってきたアルミスが大きな声を上げた。
既に日は明けている。
「ん?……あぁ、昨日ここでシたからな。その匂いだろう」
生徒会室でテストの最終確認をしていた僕はアルミスの言葉に答える。
「……はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
それを聞いてアルミスは驚愕し、大きな声を上げる。
「なんでここで!?俺らが来ることを知っているだろうが!?別のところでヤれよ!せめて!」
アルミスが憤慨する。
「す、すまない……わ、私が我慢出来なくて……」
それに対して生徒会長が申し訳無さそうに頭を下げた。
僕はホテル行こうぜ?ってちゃんと言ったのである。
「え……あ、はい」
生徒会長に対して強く出れないアルミスは曖昧な表情を浮かべて、頷いた。
「……せめて換気くらいはしようよ……」
アルミスは窓の方に向かい、開けた。
「あぁ、そうだな。換気を忘れていた。『風よ』」
僕はサクッと魔法を発動させ、生徒会室の空気を一変させた。これならば何も問題ないだろう。
「……出来るなら最初からしようぜ?」
「すまぬ。忘れてた」
「忘れないでくれ……大事なことだ……。それで?掃除はしたのか?」
「あぁ。それはしたよ。水魔法で全部洗い流して、汚い水は消して、ぐちょぐちょになったのは全部乾かしたよ」
「……は?」
僕の言葉にアルミスは口を開けて、首を傾げる。
「な、何を言っているの?生徒会室をビショビショにしたの?色々な書類とかもあるのに?」
「あぁ。魔法には、水でぐちょぐちょになった本でも元のきれいな形へと乾かして戻す、というものがあるんだよ。魔法使いの中には汚しちゃった本に水をぶっかけてぐちょぐちょにしてから魔法で乾かして戻してきれいにしている人もいるんだよ?」
「え?そんな便利な魔法があるの?」
「うん。あるよ」
「え?……ちょっと俺も使えるようになりたいな。それ。俺でも使えるか?」
「うん。もちろん使えるよ。別にそんな難しい魔法じゃないしね。後で教えて上げるよ」
「マジか!ありがてぇ!」
「おう。あ、機転を計るテストを作ったからやっておいて」
「……多くね?」
全500問すべてをアルミスへと渡す。
「頑張れ!期待しているぞ?」
「……良いだろう!やってやろうじゃないか!」
アルミスは素直にペンを握り、問題を解き始めた。
くくく。本当はそれを全部やる必要ないと告げたらどんな反応をするかな……?実に楽しみだ。
僕は一生懸命解いているアルミスを見て笑った。
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