第20話

「とりあえずは生徒会メンバーのIMSを作っていこうか」


 生徒会長が僕にそう提案する。


「そうだね。これが各学年の最上位となるわけだし」

 

 それに対して僕も同意する。


「よっと」

 

 生徒会長がテーブルの上に紙をぶちまける。ぶちまけ方は実に雑で、無秩序だった。


「とりあえずは自分たちのか。私はすべてSだな」


「じゃあ、僕はすべてSSSだな」


「え?」


 僕の言葉に首を傾げる生徒会長。


「は?」


 そんな生徒会長を前に僕も首をかしげた。


「君が……?全部?戦闘力と学力は文句なし。SSSでも全然良いとは思うが……コミュニケーション力が、SSS?冗談でしょ?」


「は?僕にはコミュニケーション力(物理)があるんだが?交渉事、どれ……仲間作りは得意なのだが?」


「なるほど!そういうことか!それなら問題ないな」


「待て待て待て!!!問題しかない!問題しかないよ!」

 

 僕と生徒会長の話し合いにアルミスが介入してくる。


「それをコミュニケーション力とは言わない!それに今、仲間のことを奴隷と言いかけたよな!?」


「奴隷のことを奴隷と呼びかけて何が悪いんだ?」


「悪びれろ!少しでも良いから悪びれろ!悪びれてくれ!」


「いえ。エルピス様のコミュニケーション力はかなり高いと思われますよ?」

 

 そんなことを話していると、ミリアが思わぬ援護射撃をしてくれる。


「一度だけエルピス様の真面目な会談にご同席させてもらったときに見たエルピス様のコミュニケーション力はものすごいものがありました。あれは間違いなくSSSと言っても差し支えないでしょう。普段はその力を発揮しようという気が微塵もないだけの話でしょう」


「良いこと言った!」


「……普段にも発揮してくれ……その気が微塵もないほうがやばいだろ……」


「うるせぇ。これを決めるのは僕と生徒会長だ。僕と生徒会長がそうだと言ったらそうなんだよ。例え白でも黒になるし、黒でも白になるんだよ」


「……最悪すぎる……」

 

 愕然と呟くアルミスを放置して話をどんどんと進めていく。 


「良し。決まりだな。僕はすべてSSS。生徒会長は全部Sだ。……戦闘力はSSでも良いかもな」

 

「確かにその方が良いかもしれないわね。……そうしましょうか」

 

 こんな感じで僕と生徒会長のIMSは早々に決定した。


「次は他のメンバーだな」


「そうね……えっとこの子は……」


「なるほど……いや、だが……」


「あー。確かにね」


 そして、僕と生徒会長は他の生徒会メンバーのIMSについて大真面目に議論しあった。


「落差がすごい」

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