第7話
「到着よ」
僕とマルジェリアは一つの大きな屋敷にたどり着く。
ちなみにアルミスとは途中で別れた。
マルジェリアのものと思われる大きな屋敷。
普通に貴族と同じくらいの屋敷の大きさで、立派な庭園も広がっている。公爵家の屋敷と言われても驚かないだろう。
……ここで生活するのかぁ。完全にマルジェリアの国だろ、ここ。馬鹿みたいな数の仕掛けが用意されていそう……。
これっぽちも安心して眠れなそうだ。
「ちなみに私はあなたに害意を向けるつもりはないから安心してちょうだい。……あなたが好きに家で仕掛けを施しても認めてあげるわよ」
「ほう……それでは容赦なく色々と仕掛けさせてもらうことにしよう」
僕とマルジェリアはそんなことを話しながら広い屋敷の中を歩く。
部屋の中の内装は……独特だった。
普通の貴族の屋敷に飾られているのは甲冑だったり、絵だったり、ツボだったりするのだが、この屋敷に飾られているのは盆栽を始めとするたくさんの植物たちだ。
やはり自然を愛するエルフらしく自然が多いのだろう。
普通のエルフは森に引きこもって生活しているからな。こんな街の方に出てきているマルジェリアやアレリーナが特殊なのだ。
というか、甲冑とかツボないの嫌だな。……屋敷に侵入した時に役立つ隠れアイテム殿堂入りなのに。
「ここがメインルームよ。基本的にはみんなでここで生活しているわ。……あなた個室はいるかしら?」
「ん?どっちでも良いぞ。別に僕はどこでも眠れるからな。……あぁ、いや。却下だな。部屋を寄越せ。女を呼び寄せるようのな」
「……私の家に呼ばないので欲しいのだけど」
「知らん」
「はぁー……まぁ、良いわ。そのかわりちゃんと寝るのよ?しっかりと用意しておくわ」
「家具類は自分で用意する。場所だけ用意しろ」
「わかったわ。空き部屋の一つをあなたの部屋するわね。好きに使ってちょうだい。じゃあ、部屋全体の案内を始めるわね?」
「うむ」
僕は偉そうに頷いた。
■■■■■
「これで全体の説明は終わりよ」
「うむ」
個室、キッチン、風呂場など様々なところをめぐってメインルームのほうに戻ってきた。
広い屋敷で全部見るのに思ったよりも時間がかかった。
……普通に僕が空間把握の魔法を使ったほうが早かった……。
「ほら、そこ!無粋なことを考えないの。さて、私はこれから外出なの」
「おう。王侯貴族どもによろしくな」
「えぇ。任せてちょうだい。それじゃあ行ってくるわね」
「うむ」
マルジェリアが屋敷を後にする。
んー。とりあえず見回るかぁ。
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