第6話

「あら?もうおしまいかしら?」


「ふん。まぁ、無理だな。これ以上は無駄だ。そもそもの話僕が受動的に勝負を挑まれている時点でな」

 

 暗殺者は不意打ちで殺すのを得意とする。……こうして勝負を挑まれ、それを受けて戦闘するのには慣れていない。

 というか、僕らアレイスター家は基本的に戦闘しないしな。


「戦闘技術はさほど高くないのだよ」

 

 僕はゲームでのこともあるので、しっかりと戦闘技術も磨いてはいるが暗殺技術の方が優先だからね。


「建国以前のあなたたちはちゃんと戦闘技術も凄かったんだけどね」


「へぇ?そうなの?」

 

 マルジェリアは建国以前から生きているんだったか。昔のアレイスター家の人間のことも知っているのだろう。

 

「えぇ」


「ほーん」


「ならついでに戦闘技術も教えてあげるわよ。あなたたちにしか使えないようなものもあるし」


「それはありがたいな」


「……さっきまで殺し合いしていた人間の話じゃないよ……」

 

 僕の隣で、なんか股間部分を濡らしているアルミスが声を上げる。


「……俺のすぐそばで戦うな……死ぬかと思った」


「死んでいないんだから、構わんだろう?ちゃんと死なぬように注意は払っていた」


「死んでいないから良いわけ無いだろッ!?隣で神の如き戦いを行われるこっちの身にもなってくれ!?第十二階位魔法!?神話、伝説の中の話だろう!?平然と、当たり前のようにポンポンと撃たないでくれ!?というか、どちらも殺す気満々だったよな!?殺したらどうするつもりだったんだ!?」

 

 アルミスの絶叫。



「「生き返らせばいい」」


 

 アルミスの唖然。

 

「……」

 

 ピッタリと重なり合った僕とマルジェリアの声。

 それに対してアルミスは死んだような表情で、化け物を見るかのようにこちらを見てくる。

 というか、アルミスってばマルジェリアに対して怒鳴れるな。一応マルジェリアは英雄にして生きる伝説だというのに。


「……え?出来るの?」


 アルミスの疑問の声。


「死んですぐなら」


「私も死んでそんなに経っていなければ蘇生出来るわよ?」


 それに平然と答える僕とマルジェリア。


「……人間技じゃない……」


「まぁ、な」


「えぇ。ただの人間風情と思えるのはちょっと癪ね。私は一応ハイエルフなんだし」


「あっ!すみません」


「別に良いわ。それであなたにはこれから私の家で暮らしてもらうわよ?」


「……はぁー。了承した。敗北したからな」

 

 これも王侯貴族たちの策略だろう。僕に首輪をつけに来たのだろう。


「じゃあ、行きましょう!」

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