第2話

「君はよく言っているわよね。ここは実力至上主義だって」


「……うん。そうだね」

 

 僕はマルジェリアの言葉に頷く。

 

「ならば……私と戦ってもらおうかしら」

 

「コヒュッ!!!」

 

 マルジェリアの不敵な言葉にアルミスの口から変な声が漏れる。

 ……僕よりも反応するなよ。当事者でもなんでもないのに。


「どうした?おそれをなしたか?戦いを放棄するか?それでも私は一向に構わないわよ?」


「ふん。たわけ。何も抵抗せずに屈するなどありえんな」

 

 僕はマルジェリアの言葉を鼻で笑う。


「ふふふ。良いじゃない……今代のアレイスター家の実力。ぜひ知りたいわ」

 

 互いに魔力を高め合う僕とマルジェリア。


「……ゥ!?」

 

 そんな僕らを見てアルミスは完全に意識を飛ばし、ぶっ倒れた。

 ……何をしているんだ。こいつは。


「それはこちらのセリフだ。世界最強。如何程のものか……くくく、ぜひ楽しませてもらおうじゃないか」

 

 僕はマルジェリアに対して一歩踏み出す。

 

「あら?今からもうやるのかしら?闘技場なんかで……」


「ほう?逃げるのか?」

 

 煽るように僕は呟く。戦う時間が遅くなれば遅くなるほど僕が不利になっていく。準備出来るものが違う。 

 何もかもが違う。残念なことに。非常に残念ことに。

 ……まぁ、とはいえあらかじめマルジェリアが準備万端で僕の前に立っていたのだとしたらもうどうしようもないのだけど。


「ふふふ。良いわぁ。やりましょう」

 

 マルジェリアの魔力が轟き、渦巻く。


「に、逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」


「馬鹿野郎ッ!!!見るなんて悠長なことを言っているなッ!逃げろ!逃げろッ!」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」


「校舎がッ!校舎がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!」


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


「残業はイヤぁァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 阿鼻叫喚の地獄。

 ドン引きするくらいの最低すぎる地獄。

 生徒たちが全力で逃げ出し、先生たちは戦いの余波で増えるであろう仕事に絶叫していた。


「ふふふ。ではやろうか」

 

 そんな中、理事長は一切意に介さず、獰猛な笑みを浮かべた。

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