第52話
「はぁー。僕は単体戦闘特化なんだよ……」
アレイスター家の人間は全員複数戦闘を得意としていない。
近距離で単体の敵に攻撃を与えるのを得意としていて、遠距離から複数の敵に攻撃を与えるのは苦手だ。
それに長距離高速移動も得意ではない。転移も長距離は出来ない。
森に来て殲滅する。
なんて作業は最も不得意とする分野だ。
「んっ。美味しい」
なので僕は森の中に椅子を起き、パフェを嗜んでいた。
「グルルルル……ァ?」
なんか聞こえてきた獣の声、そして何かが倒れる音。
きっと僕の魔道具による効果で魔物がおびき出され、殺されてくれたのだろう。
魔道具。
今回の掃討戦に僕は二つの魔道具を使っている。
一つ目が魔物をおびき寄せる魔道具。二つ目は魔物に電撃を流して殺す魔道具。
僕はこれらを使い、掃討は魔道具に全て任せていた。
「エルピスーッ!!!助けてぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええ!」
「あ?」
聞こえてくるアルミスの声。
声をした方向を見るとそこには巨大な魔物に襲われ、逃げ纏っているアルミスの姿がそこに。
「ほい」
僕は巨大な魔物の首を歪曲させ、殺す。
「……は?」
一瞬で殺された巨大な魔物を前にアルミスは固まる。
「……ほ、本当にエゲツないな」
「当たり前だろ?ほら、さっさと戦ってこいよ」
「……」
アルミスは僕を見つめる。
パフェを片手に椅子で寛いでいる僕を見つめる。
「お前は一体何をしているんだ?」
「周りを見ろ。ちゃんと倒しているだろ?」
「……お前も動け。魔道具はお前がいなくとも作動するだろう?……勝手に俺の封印術を使っているし」
「あぁ、便利だな。これ」
封印術で魔力を封印しておけばいちいち魔力を流さなくても魔法が発動する優れものとなった。
「生徒会長が言うには魔物数が例年よりも増えてて、強力になっていてヤバいらしい」
「僕はヤバくないが?」
「お前はな!?動け!動いてくれ」
「えー」
僕が全身で不満を顕にする。
魔物を歩いて倒すとか面倒極まりない。
「のふぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
そんなこんなで僕とアルミスが会話していると、遠くの方からアレリーナの大きな悲鳴が聞こえてくる。
「あぁ!?ほら!行かないと!」
「……ちっ。はぁー。仕方ないなぁ」
僕はゆっくりと立ち上がる。
「アレリーナには後で対価を支払わせよう。うん」
誰かが僕の認識出来る範囲で死ぬ。それを受け入れることはしない。
誰も殺させない。
それが僕に課した自分ルールの一つだ。
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