第41話
次の試合はアルミスの番だ。
今、闘技場に立っているのはアルミスとメト。二人が向き合っている。
ミリアは試合を辞退した。
彼女の魔法は戦闘向きじゃない。そして、メトの用に近距離戦闘が出来るわけでもない。
辞退するのが妥当だろう。
「アルミス。君のイチオシの人ね」
「あぁ。そうだ。……あれはメトに勝つぞ?」
「へぇ。見ものね」
僕の一言に生徒会長の瞳に好奇心の色が映る。
……流石に生徒会長相手じゃ手も足も出ないだろうが。
二人の戦いが始まる。
アルミスはさっき僕から受け取った剣を手に持ち、メトは巨大なメイスを構える。
「へぇー。面白いな」
流石に見破るか。
「ほいさ!」
巨大なメイスを持っているとは思えないほど俊敏な動きでアルミスとの距離を詰め、メイスを振り下ろす。
「ちっ」
アルミスはそれをギリギリのところで回避し、剣を振るう。
しかし、その刃はメトの腕に深くは刺さらない。
「かった」
「よっこいしょ」
メトは手を素早く引き抜き、剣を外してメイスを振りかぶりアルミスへと向ける。
「くっ」
アルミスはメトのメイスを剣で受け、それでも壁にまで叩きつけられる。
すでにメトの腕の傷は治っている。
「いってぇ」
「行きますよ」
一瞬でアルミスとの距離をつめたメトが勢いよくメイスを振るう。
「『霧隠れ』」
アルミスを中心に霧が濃く展開される。
特殊な霧はメトにまとわりつき、動きを阻害する。
アルミスは全ての魔法領域がそこそこに育って、特殊魔法領域が際立って高い。
「足りませんよ」
メトは体を強く動かし、霧を払う。
だが、少しの足止めさせできればアルミスには十分。
アルミスはその場から離れる。
「『水流砲弾』」
距離を取ったアルミスはメトに向けて魔法を放つ。
「……足りませんね」
だが、メトはアルミスの多種多様な攻撃を全て物ともせずに、突撃していく。水も、炎も、風も。全然効かない。
「終わりです」
アルミスの頭に向かってメトのメイスが振り下ろされる。
その衝撃でアルミスは意識を奪われ、ゆっくりと体を倒した。
「ふぅ。大変でした」
メトがほっと一息つき、メイスを地面につける。
「そうかい。なら寝てなよ。俺がたっぷりと寝る時間を作ってやるよ『封印術』」
メトの耳元に一人の男の声が届く。
「え?」
そして─────男の、アルミスの短剣がメトを貫いた。
メトの体が一気に石化していき、体の動きを止めた。
アルミスが得意なのは幻術と封印術。
全て最初からアルミスの思惑通りに戦いの展開が進んでいたのだ。
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