第40話

「ふぅむ。不服」


「同意だな」

 

 闘技場の特等席で僕と生徒会長が頬を膨らませながら闘技場を眺める。

 そこでは今、序列を決定するための戦いが行われている。

 今日やる予定ではなかったらしいのだが、なんか僕たちの戦いに触発されて今日やることにしたらしい。


「……暇やな」


「そう?他人の戦いには興味ないのかしら?」


「ん?虫けらの戯れを見て楽しめるか?」


「……なるほどね。それほどまでに格が違うのね」


「当然だ。僕と対等に戦えるのなど理事長くらいだ」


「……あ、あの化け物と、対等に?」


「闇討ちなら勝てる。……他はあまり自信はないな。負ける無様など晒さんが」


「……な、なるほどね……」

 

 生徒会長が少し引いたように告げた。

 ……まぁあの理事長は色々とおかしいからな。あんなのに闇討ちであっても勝てると断言する僕もまたとんでもない化け物だろう。

 

 今行われているのは、二年生で最弱だというメトとアレリーナの戦い。

 今回は序列を決めるだけなので、基本的には一年生たちがまずメトと戦い、二年生より強いかどうかを図るのだ。

 メトに勝てば、上の序列の人へと戦うことになる。そんな感じだ。

 ……まぁ、メトに勝てる人などそうそういないだろうが。


「くっ」

 

 アレリーナは自然魔法という特殊魔法を使用する弓士だ。

 特別な弓を構え、自然魔法によって自分で生み出した特別な弓矢を射る。

 しかし、そんなものはメトの巨大なメイスによって

 メトのは強化魔法領域と支援魔法領域と回復魔法領域が発達した支援、ヒーラタイプの人である。

 何故か自分に強化、支援を行い、全ての傷は自分で治す脳筋タンクヒーラーとして戦っているけど。

 

「面白い戦い方だとは思わない?」


「そうだな……一流の人間がやれば普通の人間なら面倒になるのではないのか?」


「あなたは違うの?」


「即死だったら回復もクソもないだろう」


「そう……流石は暗殺者、と言ったところかしら?」


「そうだな。僕は最強の暗殺者。紫紺の死神だからな」


「……ッ!?」

 

 あっさりと肯定した僕に生徒会長は驚愕した。

 あ……。アレリーナが負けたな。有効打を与えることは出来ず、そのままやられてしまったって感じだな。


「あ、あなた……」


「ん?どうした?……好きにいつでも挑んでくるが良いぞ?僕を殺せる奴などおらぬし、害せる者もない……くくく、次に来たらお前ら諸共犯してやるがな?」


「んぅ」

 

 ……生徒会長。

 この後に及んでもなお表情を赤らめるん?……度し難いマゾヒストだ。

 そういうところが好きなんだけど。

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