第37話

「は?僕出ないの?」


「えぇ。騎士にさえ勝ったあなたと誰が戦えると言うの?」


「「「え?」」」

 

 さも当然のように吐かれた生徒会長の言葉を聞いて理解出来ないと言わんばかりに一年生三人の視線が僕の方に集まってくる。

 この情報をあらかじめ知っていた上級生は苦笑している。


「その代わりにあなたには私と戦ってもらうわ」


「お?」


「私も騎士を相手に圧勝出来る。あなたも圧勝出来る。ここは実力主義。それならばどっちが上かを判断する必要があるだろう?」


「戦って調べるまでもないけどな」

 

「大した自信ね?」


「当然だ」

 

 僕は生徒会長の初期のステータスを、育成終了時のステータスも知っている。

 それを見て、育成終了時の生徒会長のステータスは今の僕に遠く及ばない。

 圧勝出来るだろう。

 僕の知らない、一周目じゃ知り得なかった情報、強化方法などがあれば今の僕よりも強く慣れる可能性があるが、少なくとも序盤の段階で僕を越えられるわけがないだろう。


「ふふふ、あなたの戦いを楽しみにしておくわ」


「あぁ。そうだね。別に僕は今やってもいいよ?大した時間もかからん」


「ふふふ」

 

 僕の言葉を聞いて生徒会長は楽しげに笑う。

 生徒会長は凛としたクールなキャラ。だが、戦闘を何よりも楽しむという戦闘狂の一面があるのだ。

 生徒会長は学院生最強。帝級の魔法使いであり、教師を含めても最強。

 彼女と戦える存在はあまりも少ない。それ故に自分に真っ向から向かってきてくれる存在というのは嬉しいのだろう。

 ちなみに夜は誰よりも恥じらう、甘々なキャラとなる。そのギャップが何よりも好きだった。

 ドMだしね!夜は。叩かれ、雌豚と呼ばれ喜ぶキャラだ。あの悲鳴がたまらない。


「良いじゃないか……それでは今すぐにでも始めようか!闘技場の準備だな!使用者はいるか?」


「え!?本当にやるんですか!?」


 副会長は生徒会長の言葉を聞いて驚愕する。


「当然じゃないか!今、戦っても良いと言われたのだ!これは宣戦布告と同義!向かい打たなくてどうする!」


「はぁー。悪い癖が出てきてしまっていますね……これは。もうどうしようもないですね。今すぐに闘技場の準備をしてきますね」


「あぁ!よろしく頼む!」

 

 生徒会長は楽しそうに告げる。


「私を楽しませてくれよ?」


「それはこちらのセリフだ。せいぜい僕を楽しませろ。地を舐めてくれるんでいいよ?」


「あぁ!私が負けたら幾らでも地を舐めるとも!」

 

「くくく、言ったからな?」

 

 僕と生徒会長は不敵に笑いあった。

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