第32話

 学院生活は何事もなく進み、今日の授業時間が終わる。


「ねぇ」

 

 学院からの帰り。

 ラザリアに話しかけられた。


「何のつもりなの?」

 

 僕を睨みつけがらラザリアは開口一番に不穏なことを告げた。

 

「はぁー」

 

 僕はため息をつく。……面倒な奴に絡まれた。いや、絡まれることは予想していたけど……ワンチャン見逃してくれないかなぁーと期待していたのだけど。


「こんなど真ん中でする話じゃねぇだろ。クソが。空気読んでから再度来るんだな」


 僕はラザリアを見て、言葉を吐き、投げる。

 ラザリアが話しかけてきたのは道のど真ん中。

 帰路についている学院生もたくさんいる。こんなところで会話するのは邪魔でしかないだろう。

 ラザリアは周りを見て、少し縮こまる。


「……いいわ。こっちに来なさい」

 

 だが、すぐにラザリアはかっこよくそう告げ、僕に背を向けて人通りの少ないところへと向かっていった。

 彼女は僕の方へと振り返らない。 


「ふん」

 

 僕は彼女を鼻で笑い、背を向けて帰路についた。

 そんな僕の背中に向けて、『マジか、こいつ……』と言いたげな視線が、周りの生徒たちの多くの視線が集まってきていたが、そんなものは無視である。 

 何故僕がラザリアに従わなければいけないのか。まるでわからない。


 ■■■■■

 

 今日、アルミスが図書館に行っているため僕は一人である。

 甘味処に僕は一人で来ていた。

 大きなパフェを頬張り、至福の時を過ごしていた。


「見つけたッ!!!」

 

 のどかな雰囲気の流れる甘味処。そこに一陣の風が吹き荒れる。


「……ラザリア」

 

 僕はげんなりとした表情でそこに現れた少女を見てため息をついた。


「あなた……!あなた……!あなたねぇ!私に喧嘩売っているのかしら!?」


「君はこの甘味処に喧嘩売っているのかい?話は後で聞いてあげるよ。とりあえずは座ってパフェでも頼んだらどうだい?」


 こいつがパフェを食べている間に僕はトンズラしよう。


「……良いわ。あなたのを見ているだけで胸焼けしてきたもの」

 

 ラザリアはそんなことを告げ、席に座った。

 ……ば、ばかな……!あり得ない!スイーツの誘惑を断ち切っただと!?こ、こいつ……人間か!?女子学生か!?

 意味がわからない……。

 それに胸焼け?

 別に僕は大きなパフェを五個頼んだだけだぞ?

 この程度胸焼けするわけがないだろう。


「早く食べ終わりなさい」


「なんで僕が言うことを聞かなきゃいけないのか?あ、パフェ三つ追加お願いしまーす」


「はーい。いつものでいいかしら?」


「はい」


「……えぇ。まだ食べるの……」

 

 喜々として追加のパフェを注文した僕を見てあり得ないと言わんばかりにラザリアが呟いた。

 ……何故?

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