第27話
「……テメェ。あまり俺らを舐めてんじゃねぇぞ?」
大男たちは怒り心頭な感じで僕を睨みつけてくる。
「怖いん」
僕はあくびを浮かべながらぼーっと眺める。
「テメェ!」
大男の一人が僕に殴りかかってくる。
僕はそれを受け止め、腕をひねり上げる。
「いっ!?」
「……んー。僕に挑んでくるってことでいいんだね?……君の上に挨拶しておこうかなー覚えていたら」
僕は魔力を高める。
「ほいさ」
そして、飛ばす。僕が飛ばした幾つもの魔力弾が大男たちを全員打ち抜き、気絶させる。
よし。これで終わり、っと。
「あ、あの……」
助けられた男が顔を上げる。
「……ッ!?」
僕はそんな男の顔を見て驚愕する。
その男は……その男の相貌はゲームに出てきた、主人公その人だったからだ。
何をやっているんだッ!?僕はッ!?確かに主人公の声だったわッ!?遠くでよくわからなかった……。
「助けてくれてあり」
「礼はいらん」
僕は椅子を蹴って立ち上がる、背を向ける。
「僕はただ自分ルールに従っただけだ。恩に感じる必要もない。ただ忘れろ」
それだけを言い残し、超早足で立ち去る。主人公に追いかけられないようにわざわざ空間魔法で動きを地味に拘束して。
「な、何でだい?」
「ん?」
僕を追いかけてきたアルミスが疑問の声を僕に投げかけてくる。
「別にあんなに冷たくする必要はないんじゃないか?もう少し何かしてあげても……せっかく助けてあげたのに」
「哀れな人間を見たらいじめたくなっちゃうでしょ?」
「……え?」
僕の簡潔でわかりやすい一言にアルミスは
そして、一度咳払いをして何もなかったことにする。
「お前が人助けをするとは思わなかったよ……そんな博愛の精神を持った男だったのかい?」
僕が真性のサディストであることを知っているアルミスは疑問の言葉を口にする。
……別に僕は人の死に様を見て喜ぶ快楽殺人者ではないのだけど……。
「ふん。僕らは人を殺すための道具だ。……だが、プライベートのときくらい道具でなくても良いだろう?ただの反抗だよ。ちっぽけなね。別に博愛主義なわけじゃない。道具としての僕が人を殺すのならば、プライベートな僕は人を助けるのだよ」
「そ、そうか……」
アルミスはまるで聞いちゃいけないものを聞いたような表情を見せる。不遇な暗殺者である僕の言葉。ツッコミにくいのだろう。
再びアルミスは咳払いして何もなかったことにする。
「そういえばお前はどこで暮らしているんだ?寮にいないよな?」
「娼館」
「……え?」
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