第25話

「普通に考えて落ちこぼれとして目立つより、ただの平凡な貴族としているほうが目立たないだろう?なんであんな落ちこぼれが侯爵家なのかと疑う声もあったからね……」

 

 僕は苦笑を浮かべながら話す。


「な……そんな、なんと酷い!そんなことを認めていいの!?国を、国を裏から守り続けていた家に対する仕打ちじゃないよ!?」


「全くもってそのとおりだね……それでも彼らは僕らという脅威に耐えられなかったんだろうね。僕らは落ちこぼれの貴族家であることを強要された。従わなければ領民を殺すとしてね。僕らは殺すことはできても守ることはできないから」


「ど、どこまで……!」


「でも、ずっとこのままってわけにもいかないでしょう?僕がああして好き勝手やっているのは反抗であり、意志の表明なの。アレイスター家はお前ら王侯貴族の意思には従わないぞ……というね。でも、完全に敵対したいわけじゃない。アレイスター家の本当の姿を知っている王族、公爵家の令息、令嬢とは関わらない。……ガッツリと関わりだしたら……どうなるか、想像に難くないし、まぁ面倒なことになるよね」

 

 越えても良い一線と越えちゃいけない一線がある。

 彼ら、彼女らと関わればメインストーリーのごたごたにも巻き込まれるし、アレイスター家に恐怖する王侯貴族が動き出すし、マジでいいことがない。

 本当にリーリエは僕に話しかけてこないでほしい……切実に。


「なるほどね……!そんな酷いことがあったんだね……それならあの態度も納得だよ!」

 

 目の前のアルミスはぷりぷりと怒っている。

 ……こいつは今、自分が高身長イケメンになっていることを覚えているのだろうか?


「じゃあ……つまりあの態度は全部演技で、わざとだった、ってことか!」」


「いや、素だが?」

 

「え……?」


 僕はアルミスの言葉を否定する。


「僕は思うがままに生きているだけ。ただの素だよ?あのときの男の怒りに染まった表情と……その後の恐怖に染まったような表情……最高にゾクゾクするよね!」


 僕が好きなエロゲの種類は陵辱系。僕は自分を生粋のサディストであると自覚している。


「え、えぇ……」

 

 僕の言葉にアルミスは引いたような表情を見せる。

 

「ふふふ。王侯貴族のおかげで僕はサディストとして自由に出来るってわけよ!」


「なるほどね……君がヤバい奴だってことがわかったよ」 

 

 真顔になったアルミスが一つ頷く。


「君も人のこと言えないんじゃないかな?」


「……俺はお前が嫌いだよ……こんなやつを隠れ蓑にしようとするんじゃなかった……」


「ははは。もう手遅れだけどね!そのままゆっくり絶望していってね!」

 

 僕は笑いながらパフェを口に運んだ。

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