第24話

「んー。美味しい……!」

 

 僕はパフェを頬張り、声を上げる。


「あれだけ大暴れしたやつだとは思えないな……」

 

 そんな僕を見て、僕の前に座っていたアルミスが呆れたようにつぶやく。

 僕の前には巨大なパフェがあるのに対して、アルミスの前にはコーヒーが一杯しかない。


 あの後。僕とパスタくんの熱い戦いの後。

 僕はアルミスを道連れにして、あのまま教室を出て帰った。

 蹂躙劇に呆然としているクラスメート、僕と話したそうにしているリーリエ、まるで親の仇かのように僕を睨みつけているラザリア、諦めたような表情を浮かべた担任を残して。

 あれ以上いても面倒になるだけだし、有無を言わせず教室から退室して残りのカリキュラムは全部サボった。

 

「糖分は正義」

 

 女子高校生やクソデブしか食べないような巨大パフェを口へと運びながら告げる。


「全く……なぁ。気になったのだが、なんでお前はあんなにもあの女、リーリエを拒絶するんだ?別に関わってもいいだろう?」


 アルミスが至極当然の疑問の声を投げかけてくる。


「君がそうやって幻術で姿を変えているのと同じだよ。面倒なことになる……いや、面倒どころの話じゃなくなってくるんだよねー」

 

 僕は空間魔法を発動させ、ここら一帯を別の空間へと移す。これでここで何を話しても外に音が漏れることはない。


「なんで?……君が俺についてやけに詳しいのは置いておくが……いや、置いておきたくない……!いや!ともかく、だ。何故あのリーリエとかいう女を拒絶しないことが面倒事につながるんだ?」


「んー、昔から言われているじゃん。この国にいる最強災厄の暗殺者の存在」


「あぁ。いるね……だが、それに何の関係が?」

 

 この国には手を出すな。

 世界各国の共通認識。その共通認識を作らせたのはとある暗殺者の存在である。


「それが関係あるんだな。僕についての話になるわけだから」


「お前についての……?……まさか!?お前がッ!?」


「お前が、って言い方は辞めてほしいな。僕が、じゃない。僕を含むアレイスター家が、だ。今までこの国に存在していた最強災厄の暗殺者は全員アレイスター家の人間だよ」


「まさか……アレイスター家がそんな一族だったなんて……そうか、今侮られてるのも」


「いいや、違うよ」

 

 僕はアルミスの言葉を否定する。


「僕らは強すぎた。……僕らを受け入れられるほどこの国は強くなかったみたいだね。僕らの一族が侮られ、迫害されるようになったのはこの国の王侯貴族のせいだよ。……元々アレイスター家は平凡な一家だったからね」


「なっ……!」


 僕の言葉にアルミスが驚愕した。

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