第23話
「お……俺が黙っている間に逃げ出せば良かったものを……お前は完全に俺を怒らせたぞ?」
パスタくんは僕の方へと振り返る。
その表情は怒りに染まっていた。
「へぇー君を怒らせたらどうなるの?」
「……殺してやるよ」
無。
パスタくんから表情が消え、バックステップ。
椅子も、机も吹き飛ばし大きく後ろへと下がる。
パスタくんの手にはいつの間にかレイピアが握られていた。
「天炎刺突」
炎が上がり、パスタくんは足に力を入れる。
ドンッ
地面を蹴り、僕に向かって突撃しようとしたその瞬間。
「教科書燃やすつもり?」
僕がレイピアを素手で掴み、パスタくんの動きを強引に止める。
炎を纏っているレイピアを。
「なッ!?いつの間に!?」
「君は僕へと殺意を向けた。ならば殺されても文句はあるまいな?」
力を込める。
パリンッ
レイピアは少しだけ力を込めて握った僕に握りつぶされ、鉄の破片となって地面に落ちる。
「ふふふ」
僕は短剣をパスタくんの首元で遊ばせる。
殺気と共に。
「ヒッ!?」
パスタくんは情けない声をあげ、腰を抜かす。
「それくらいにしておきなさい」
強い衝撃、風。
それが僕たちに襲いかかってくる。
僕は風程度で吹き飛ばされるようなやわな鍛え方はしていない。
だが、パスタくんはそうも行かなかったみたいである。パスタくんは風魔法によってそれはもう見事に吹き飛ばされていった。
「嫌だなぁー。アリサ先生。流石に殺すつもりはなかったよ?」
僕は風魔法を使ったアリサ先生の方を向き、笑顔を見せる。
「……そんなことわかっているよ。だけど念の為。手元が狂ってぐさりと言うこともあるかもしれないじゃない?」
「え?僕がそんなヘマすると思いますか?」
「……思わないわね……あなたの成績を見るとね」
僕の疑問の声にアリサ先生がそう答える。
「でしょ?」
そして僕は
僕は魔法を発動させる。左目が紫色に光る。入学試験の時は右目だった。
「これが空間魔法だよ。便利でしょ?」
「うお!?」
僕はアルミスの後ろへと転移する。
「び、びっくりした。いきなり来るなよ……空間魔法……空間跳躍か?」
「そうだね。転移!すっごく便利だよ?これ……まぁ長距離は転移出来ないんだけどね。」
「……例え短距離でもえげつない魔法だよ……」
アルミスは呆れたようにつぶやく。
「普通にえげつないのな……なんで燃えている剣を握っても平気何だ?」
「……え?訓練?」
「そんなで出来るか!」
出来るんだけどね?
僕とパスタくんの戦いと空間魔法。
それらに驚愕し、呆然としているクラスメートたちをよそに僕とアルミスは変わらず会話を楽しんだ。
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