第13話
イロンティア王国が誇る巨城。
そこに僕は騎士たちに包囲されながら進んでいた。
「こ、こちらです……」
僕を先導するのは未だ娼館で倒れているであろう彼の代わりとしている男だ。
この男の瞳は、恐怖の色で塗られている。
コンコン
そんな男は非常に高そうな扉の前で止まり、ドアをノックする。
「失礼します!お連れしました!」
「うむ」
「はっ」
男は扉を開け、僕に入るように促す。
僕はそれに大人しく従い、部屋の中に入った。
「……よく来たな」
部屋を飾るのは豪華な調達品の数々。
そんな部屋の中、豪華なソファに腰掛けた一人の男。
アウベルド・イロンティア。
このイロンティア王国の国王がその人である。もう50も見えてきたような年齢であるにも関わらず、その身を覆う筋肉は衰えを見せず、その鋭い眼光は僕を貫いている。
国王陛下の隣には二人の男女が立っていた。
異彩の輝きを放つ鎧を身に纏った男と、魔力を漂わせている油断のならない女。
この国の騎士団長と、魔導士長。アレイスター家を抜いたとき、この国の最大戦力である二人だ。
「よっこいしょ」
僕は国王陛下に相対する態度とは思えぬ態度で国王陛下の向かいにソファにゆったりと腰掛ける。
「何の用?」
僕は敬語する使わず端的に尋ねる。
「何の用、だと?それはアレイスター家の新しいギャグが何かか?」
「そうかも知れないよ?あなた方の知らぬ間にアレイスター家の中で新しいギャグが流行ったかも」
「……っ」
笑顔で告げた僕に国王陛下は顔を強張らせる。
アレイスター家の変革。それを目の前の国王陛下はしっかりと確認し、そして、それでも気圧されることはなく口を開いた。
「貴様の詰まらぬギャグなどどうでもいい。余が聞きたいのはあの成績だ。……何のつもりだ?」
アレイスター家は常に影であり続ける。
だからこそ、今までアレイスター家の人間が王立騎士学院で好成績を収めることはなかったのだ。
だが、僕はそれを無視した。
「何のつもり、と?試験だから力を出して挑んだ。それに何の問題が?」
「……未だに貴様はそんなことをのたまうか」
「はて?国王陛下が何を言っているのか、僕にはまるでわからないね」
「……態度を変えるつもりはない、と?」
「変える必要性は?」
「アレイスター家が収めるその領、そこに住まう領民が一体どんな未来を見るか……一体どうな」
「どうなるの?」
国王陛下の言葉を遮り、僕は口を開く。
僕ははっきりと笑顔で、だが、有無を言わさない声を国王陛下へと向けた。
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