第12話
「……美味しいね。これ」
「でしょう?私のお気に入りなのよ。これ」
僕は娼館のベッドの上。
そこで裸のエウリアと共にワインを楽しんでいた。当然僕も裸だ。
数回運動を楽しんだ後、僕とエウリアは晩酌しているのである。ちょうど夕食の時間だからね。
ちなみにだが、僕もエウリアも性欲は底なしのようで、幾らでも楽しむことが出来た。
「つまみも美味しい」
「あら?そう言ってくれると嬉しいわ。それ私が作ったのよ?」
「ほんと?すごいね。わざわざ僕のためにありがとね」
「ふふん。これくらい当然よぉ」
エウリアは鼻を少しだけ膨らませ、得意げにしていた。
僕とエウリアがまったり過ごしていると、
コンコン
部屋の扉を叩く不躾な音が響いてきた。
「騎士団の者だ!ここにエルピスはいるか!」
そして聞こえてくるのは大きな声。ムードぶち壊しだろ……営業妨害って訴えられろよ。
「え?騎士団……?え?」
エウリアが隣で慌てている。
「僕のお客だ」
「き、騎士団って大丈夫なの!?」
「何の問題もないよ。すぐに戻ってくる空気読めよな……」
僕はエウリアを安心させるように笑いかけ、ベッドから立ち上がる。
「ん」
僕は空間魔法を発動させる。
裸だった僕の身を服が包み込む。服だけを寸分違えず完璧な位置で召喚すれば、一瞬で早着替えが出来るようになる。
「裸。布団で隠しておいて。……そうだね。三時間後くらいに帰ってくるよ。全部食べられなくてごめんね」
せっかくエウリアが作ってくれたご飯を食べれなかったことだけが、あと残りだ。……流石に待ってもらっていたら冷めて美味しくなくなってしまうだろうから……。
「はいさー」
僕は扉を開け、外に出る。
「お前がエルピスだな?」
外にいたのは鎧を着こないた騎士の人が数人。
「そうだよ?」
僕は彼らの言葉に頷く。
「同行してもらおう。国王陛下がおよびだ」
「ひぅ!!!」
「へいほー」
僕は部屋の中から聞こえてきたエウリアの言葉を無視して、歩を進めた。
「こっちだ」
僕を騎士の人が囲み、この中で一番偉そうな人間が僕に向かって上から目線で告げる。
「あぁ、そうだ」
僕一番偉そうな人間に向かって腹パンする。
彼の身を纏い守っていた鎧は粉砕され、僕の拳はお腹にめり込んだ。
「ぼぇぇぇぇぇ」
彼は体を倒し、口から血反吐を吐く。
「僕に対して上から目線で告げるな。僕は貴族だぞ?……さて、行こうか。王城だよね?」
僕は笑顔で告げると、ゆっくりと歩き始めた。呆然とする騎士たちを置いて。
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