第9話
「よろしくおねがいします」
僕は魔法試験の会場に入り、一言告げる。
魔法試験の会場は謎に飛び回る的が置かれている体育館のような場所にある。
「え……はっ!?そっ!?はっや!?」
一番乗りで魔法試験の会場にやってきた僕を見て、そこの試験官として集まっていた魔法使いらしき人たち数十人が驚く。
「えっ……その、諦めちゃった、の?」
魔法使いらしき女性の人が僕の方に近づいてくる。
「いや、そんなわけないじゃないですか。普通に全問問いて、武技試験で騎士の人に勝利して最速でここまで来ただけですが?」
「……は?」
目の前の女性が固まる。目の前の女性だけじゃない。ここにいる僕以外の人たち全員が固まっていた。
「まぁ、そんなことどうでもいいじゃないですか。あなたたちの仕事は試験の監督。決して他人の試験がどうだったかを問い詰めるものではないでしょう?」
「そ、そうね」
僕の言葉に目の前の女性は曖昧なぎこちない笑みを浮かべて頷いた。
「それで魔法試験は一体どういう内容の試験なのでしょうか?」
「あ、そうね……うぅん。魔法試験は3つの試験に分かれます。攻撃魔法試験。支援魔法試験。回復魔法試験。この3つ。どれを受けたいかしら?」
「攻撃魔法試験でお願いします」
「わかったわ。こっちよ」
僕は目の前の女性に連れられて歩く。
そして、いくつもの的が置かれている場所に連れてこられる。
「攻撃魔法試験で見るのは威力、連射性と発動速度。まずはあの大きな的に自分の持っている魔法で一番威力があるものを当ててちょうだい。それでその後は動き回る的に魔法を当ててほしいわ。まずは大きな的にね」
「わかりました」
僕は大きな的へと視線を向ける。
アレイスター家は代々空間魔法を得意とする一家である。その例にもれず僕が最も得意な魔法も空間魔法である。
「んっ」
僕は魔力を瞳へと集めていく。圧縮して圧縮して圧縮して。
「ほいさ」
そして、集めた魔力を一気に開放する。
解放された魔力はその大きな力を魔法へと替え、奇跡を起こした。
僕オリジナルの空間魔法が発動した。
指定された空間を捻じ曲げ、そこに存在していた物を消滅させる。これが魔法の効果。
「はっ……?」
ちなみにこの技は某有名漫画のパクリである。
瞳の色が変わらないのが実に残念である。魔法を発動させたその瞬間に右目が紫色の光を発するだけだ。せめて赤色に輝いてほしかった。
「はい。まずは終わりましたよ?これでいいですよね?」
「あ、うん」
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