第7話
使いにくい羽ペンを使いながら問題を問いていく。
問題用紙は、贅沢にも全て紙で作られている。未だ中世で紙が高価なのにも関わらずこんなに豪華に使っているとは驚きである。
魔法を使って大量生産でもしているのかな?
僕はそんなことを考えながら問題を問いていく。
教科は、算術、幾何学、文法、修辞学、宗教学、歴史学、魔法学。
この七つだ。
地球の中世でもあった『自由七科』文法、修辞学、弁証法の三学、および算術、幾何、天文学、音楽の四科に少し似ている。
算術、幾何学は前世の知識で何の問題もない。
大した問題は出てこない。未だ0の概念ないようなクソ雑魚算術である。間違えるほうが難しい。幾何学も同様。
文法、修辞学、宗教学、歴史学も幼少の頃から学んできた。
どんなところであっても潜入しに行く暗殺者には必須スキルだ。宗教学に至っては教会に大司教の補佐として潜入した際に、その大司教から直接教えを受けている。
ということで筆記試験に関して言えば僕は何の問題もない。
全て楽勝である。
「ん。終わりました」
全ての問題を解き終えた僕は羽ペンと問題用紙を机の上に置き、試験会場から退出した。
問題を解き終えた者は各自好きな時間に退出することが認められている。
僕はちゃっちゃと筆記試験を終わらせた。
次は武技会場だ。
「……随分と速いな……諦めたのか?」
武技試験の会場である闘技場を訪れた僕を見て、試験管と思われる騎士の一人が僕に向かって告げた。
試験管らしき騎士たちは全部で20人いる。鎧は着ていないが、服の上からでもよく見える筋肉が彼らの強さを示している。
「そんなことはどうでもいいだろ?さっさと武技試験をしてくれよ」
「む。そうだな。では、試験は俺がこなそう」
一人の騎士が立ち上がり、木剣を手に取る。
「お前もそこから好きな武器を選ぶと良い」
騎士はそう言ってたくさんの木製の武器が置かれた場所を示す。
僕は短剣を一つ手に取り、騎士の前に立った。
「では、試験内容だが俺を倒す必要はない。ただ実力を図るだけだ。勝とうとする必要はないから、肩の力を抜いて気楽に挑んで来てほしい。後、当然魔法は禁止だ。」
「別に勝ってもいいんだよな?」
「……ふっ。言うじゃないか。生意気なのも嫌いじゃない。あぁ、勝ってもらっても構わない。俺に勝ったら満点で通してやるよ」
僕の不敵な言葉に騎士は不敵な笑顔と言葉で返してくる。
……うん。良いことを聞いた。
「ふっ」
僕は笑みを浮かべ、何気なく、さも当たり前のかのようにごく普通の一歩を踏み出した。
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