第6話

 王立騎士学院、入学試験。


 なろう作品とかでは平民なども通っていたりするが、そんなことはない。この学校に通っているのは貴族だけである。

 そして、この国の貴族は全員この学院に通うことになる。

 そのため入学試験とか言っておきながら、この試験に落ちる人間はいない。


 では、何のために入学試験が行われているのか。

 その理由は簡単で、クラスを決めるためである。

 国を強くするのは教育である。教育に力を入れない国家は衰退していく。それが万国不変の真理であり、この国はそれを良く理解していた。

 そのため、教育に関してはかなり厳しくて、生徒個々人の実力によってクラスが変更される完全実力至上主義の学院なのだ。

 強きものが上のクラスに行き、弱きものが下のクラスに行く。

 それがこの学院の仕組みだ。

 

 この入学試験も一番最初のクラス分けを行うために行われるのである。

 入学試験と言うよりクラス分け試験である。


 入学試験の内容

 それは、筆記試験。武技試験。魔法試験。

 この3つだ。


「ふわぁ」

 

 僕は筆記試験が行われる教室で大きなあくびを浮かべながら椅子に座っていた。

 この広い教室。

 そこには僕と同い年のこの国の全ての貴族の子供が集まっていた。

 

 各々が各派閥の子供たちに集まっている。

 そんな中で僕は一人、孤立を極めていた。

 

 アレイスター家は特殊である。裏の暗殺業のことを知っている貴族は数少ないため、基本的にはアレイスター家は何故貴族なのかもわからない無能の一家。貴族の恥だと思われている。

 そして、各派閥のトップである偉大なる貴族様方々はアレイスター家をどの派閥にも入れないように裏で協定を定めている。

 そのため、僕はこれ以上ないくらいに浮きまくっているのである。


「……はぁー」

 

 僕は自分に向けられる侮蔑の感情にため息をつく。

 半仕事モードから完全プライベートモードへと切り替える。

 さっきまでビンビンに感じていた他人からの感情が完全に感じられなくなる。


 仕事モード、半仕事モード、完全プライベートモード。これらを基本的にはアレイスター家の人間はこのモードを使い分けている。

 仕事モードともなれば道行く人たち全ての強さ、感情、立ち振るまい、その全てを把握するために頭を回しているため、非常に疲れるのだ。

 こうしてモードとして切り替えていかないと、上手く生きていくことが出来ないのだ。アレイスター家は。


「良し。これより筆記試験を開始する。各自席につくように」

 

 先生が教室へと入ってきて、そう告げた。みんなはそれに大人しく従っていく。

 

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