第3話
「む……」
僕の一言にお父様は眉をひそめる。
「……確かになんだこれ?と自分でも思うような策だ。いや、これを策と呼んで良いのかすらもわからぬほどお粗末なものだ。だが、もはや我々に出来ることなどこれくらいしかあるまい」
「そんなことはありませんよ」
お父様の言葉を僕はきっぱりと否定する。
「確かに、お父様の策が一見一番可能性が高いように思われます。しかし、この策には致命的な問題がある。それは所詮この策じゃその場しのぎにしかならないことですよ」
「……ッ」
お父様は僕の言葉を聞いて沈黙する。
色々とツッコミどころの多い策だが、現状を見るにこれが最も成功する可能性が高いのだ。
国王そのものの暗殺だって余裕で出来るが、そんなことをしてしまえば領地を滅ぼされることにだろう。
「では、どうするべきなのでしょうか?簡単ですよ。視野を広げてみましょう。わざわざ貴族に語りかける必要はありません。民に対して語りかければ良いのですよ。民に反乱を起こさせ、この国そのものを転覆させる。これが最も効果的な策だと思います」
「……そんなことッ……出来ぬだろう……」
「何故でしょうか?民衆の力。それを最も理解しているのは我々でしょう?僕には出来ないと断言する根拠はないと思いますが?」
「……」
お父様は沈黙し、考え込む。
基本的には、魔法の才能は遺伝によって決定され貴き一族であればあるほど優れた才能に恵まれている。
しかし、別にそんなことはない。
魔法の才能の遺伝方法は、他の才能の遺伝とは大きく異なる。
平民だろうが、貴族だろうが、王族だろうが、才能の大小は変わらない。
……例外とも言える一族もいるけど。アレイスター家のように
貴族と平民の違いは教育の違いによるものだ。
平民が貴族と同様の教育を受ければ、平民だって貴族同様の強大な魔法を使う事ができるようになるだろう。
努力を間違えていれば成長出来るものも成長出来ない。
「そう、かも知れぬな」
お父様は沈黙の果てにそう一言告げる。
「確かに平民たちを上手く使えば……この現状もひっくり返せるだろう。壮大な計画になると予想出来る。私が現役の間では計画を遂行出来ないだろうが、お前が現役の間にはしっかりとこなせるだろう」
「えぇ」
僕はお父様の言葉に頷く。
「うむ。ではお前の策を採用するとしよう。……早速行動を開始せねばな。今回は感謝する」
「当然のことですよ」
よしよしよしッ!
これで、ヒロインたちと近づく必要がなくなった!
最高の学園ライフを送れそうだ!
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