第11話

 学園神楽フォーリンラブ。

 

 僕が生前にプレイしていたゲームだ。

 簡単に言うと、魔王によって人間世界が脅かされている世界で、主人公である勇者がヒロインたちを攻略しながら魔王を倒すというエロゲだ。エロゲの癖してバトルがガチだった。普通のゲームと遜色ないだろう。あそこまでバトルに力を入れているエロゲはあれが初めてだ。

 

 そんな中で最初期から敵キャラとして登場し、最後の最後まで生き残り敵であり続けたキャラがいた。

 それが、エルピス・アレイスター。


 彼は主人公である勇者からヒロインを寝取る竿役として登場し、勇者の初恋の人を勇者の目の前で犯したりと結構えげつないことをしている。

 そんな彼だが、一度主人公たちに敗れる。

 しかし、一度敗れてもしぶとく生き残り、なんやかんやあって魔王によって魔族となる。

 そして、最終的にはなんか魔王までもを彼が殺し、ラスボスと化す。

 そんなキャラである。

 

 とんでもないキャラクターなわけだが、そんな彼の人生は悲惨そのもの。

 幼少期から暗殺者になるために辛い訓練を強いられ、自らの心を押し殺して育ってきた。


 暗殺を生業としているものの、一応は貴族家であるが、王族や他の貴族たちからは冷遇されていて、領地も発展させないように数多の妨害行為をなされている。


 そんな状態に反発した彼の父親が王族、貴族たちに反抗するために行動を開始。その作戦はむちゃくちゃで、人心掌握術に長けた自分の息子を学園に送り込み、有力な貴族の娘さんを惚れさせ、依存させることで発言力を高めようというもの。

 

 暗殺などの裏に住んでいた彼は貴族のボンボンを惚れさせるくらい簡単だと思っていたのだが、謎に勇者が立ちふさがってきて作戦は失敗。

 どうしようかと悩んでいる間に、父親が冤罪をかけられ処刑。更に領地もめちゃくちゃにされる。

 

 それに絶望しているところを勇者に因縁をふっかけられて勝負となり、そのまま敗北。

 

 暗殺者故の生命力で生き残り、魔王に拾われて魔族となる。

 そして、人間への憎悪をふくらませて人類を滅ぼそうとする。しかし、人類を滅ぼそうとまではしていない魔王に諌められ、それに対する不満を募らせた

 最後には唯一自分に優しくしてくれて、それでもなお自分が復讐にとらわれていたせいで殺してしまった魔王の名前を呼びながら一人、孤独に死ぬ。

 それがエルピスの人生だ。

 

 このゲームのエンディングが、エルピス視点の回想と死に際の話だったので、前世の最後の日に僕は掲示板のみんなとBADENDだと騒いだのだ。

 

 

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