第6話

「お母さん……治るかな……」


「うん。治るよ。そんなにヤバい毒じゃないと思うから」

 

 僕はロリと会話をしながら裏山を歩く。


「あ、そういえば君の名前は何?」

 

 僕はロリに尋ねる。まだロリに名前を聞いていなかった。


「私はリーリエ!君は?」


「僕はニクだよ」

 

「ニク!!!」

 

 ロリ、リーリエが僕の名前を大きな声で叫び、満足げに頷いた。

 ……リーリエ。どこかで聞いたような名前……?いや、まぁリーリエなんて言葉二次元ならいくらでもいるか。


「あ、ちょっと待ってて」


「はいです!」

 

 僕はその場にリーリエを残して、地面を蹴る。

 勢いよく木を登り、パルクールのように次々木から木へと飛び移り、一気に進む。


「ほっと」

 

 僕が向かっている先。そこにいた蛇の魔物。


「悪いけど人を待たせているからさっさと終わらせちまうな」

 

 僕は蛇の魔物の頭に向かってかかと落とし!

 蛇の魔物の頭がひしゃげ、血が吹き出す。


「……キィ」

 

 小さな、小さな鳴き声と共に蛇の魔物はゆっくりとその体を倒した。


「ついでに摘んで行ってしまうか……」

 

 僕は視界の端に映った目的の薬草を見て、そう呟いた。

 

「よっと」


 薬草取りなんてもはや慣れたものである。

 さっさと薬草を回収し、リーリエのもとに戻るため僕は地面を蹴った。


 ■■■■■


「ちゃんと待ってた?」

 

 僕はリーリエのもとに降り立ち、そう尋ねる。


「うん!」

 

 それに対してリーリエは素直に頷く。うん。やっぱり子供っていいね。素直で、可愛くて。

 

「はい。目的の薬草。多分これを使えばお母さんを治せると思うよ」

 

 僕はリーリエに対して摘んできた薬草を手渡す。

 劣化しないように、うちの家系特有の技術で加工しているので、リーリエが乱暴に扱ってもこの薬草が衰えることはないだろう。


「ありがと!」

 

 リーリエが瞳を輝かせて、頷く。


「これで……お母さんを治せる!」

 

 その瞳には涙すら浮かんでいた。……こ、これで治りませんでした、とかなったら最悪だな……。普通に。

 あくまでリーリエから聞いたふわっとした話から推察しただけだから……ワンチャン間違えている可能性が……。


「り、リーリエ」

 

 僕は腰につけている小さなポーチから液体の入った一つの瓶を取り出す。


「はい?」


「これも上げる。その薬草だけでも大丈夫だと思うけど、一応念の為ね。これを飲ませたらバッチリと完治すると思うよ」


 渡した瓶に入っている液体はうちの家系お手制の秘薬である。これならばどんな毒物であっても一瞬で完治出来るだろう。


「ほんと!」


「うん。それで?一人でお母さんのもとに帰れる?」


「はい!」


「そっか。じゃあ、山から降りるところまでは案内するよ」

 

 僕とリーリエは下山を開始した。

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