第2話

 光。

 ぼんやりとした光が僕の視界を覆う。


 音。

 耳から聞こえてくるのはぼんやりとしたなにかの雑音。

 

 触感。

 ゴワゴワとした感触が非常に不快だった。 


 えぇっと……。

 僕は困惑する。今、自分がどうなっているのか。それが理解出来なかった。

 確か……僕はエナドリを取りに行こうと思って、そして─────そうだ。立ち上がろうとしたらぶっ倒れたんだ……。


 ん……?

 

 僕は脳内が固まる。

 視界を覆うぼんやりとした光。耳から聞こえてくるよくわからない雑音。

 ……あれ?もしかしてヤバいかな?僕。倒れた?入院?もしかして、何かの病気にでもなった……?う、嘘でしょ……。

 僕はパニック状態になり、なんとかしようともがき喘ぐ。


「………」

 

 僕が勝手に慌てていると、段々と視界も、聴覚もはっきりしてくる。

 

「……ぉ」

 

 耳を通して入ってくるその声。それは、日本語とも英語とも違う。全然違う別の言語。

 そして────視界が広がる。

 僕の視界に見えるもの。まず見えるのが金髪のきれいな女性の顔。そして、他にもなんかいかつい顔をした男性に、メイド服を着た女性たちもいる。

 白い布で、石造りの部屋にいるように見える。

 

「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 僕は突然目にが入ってきた、光とその光景に驚いて声を上げる。

 それを受けて困惑する……?

 え?な、なんで僕は泣いているんだ?大きな声を上げて。あ、赤ちゃんでもあるまいし……。


「あぁぁぁぁぁああああああああああああ!良かった!良かった……泣いてくれた」

 

 日本語とも、英語とも言えない言語。なのに、僕の頭はそれをすんなりと受け入れた。

 な、なんで?


「良かった……良かった……良かった……」

 

 僕の体が揺らされ……ん?


「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 止まらない僕の泣き声。そして、揺れる僕の体。

 

「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 え?え?え?

 も、もしかして……僕、赤ちゃんになっている?

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