四魔 ぷるるん、ぽよよんに挟まれて

 ああ、これはやばい。やばいったらやばいんだよ。

 やばいわよ! って、どこかから聞こえてくるそのヤバさだよ。

 いや、なにがってなるんだけど、そりゃもちろんあそことか、あそことか、あそこがヤバいんだよ。

 まあ、これらを具体的に、簡潔に換言するならば、そうだな、目の前にあるたわわなるお胸、胸部装甲が、いやでも、公的に見ることができる。

 そして、なにより目の前にあるこの谷間。

 何度みてもでかい、もとい眼福。

 いや、すごい目の保養になるんだ。わかるか?

 このシチュエーションが、どれだけのものか!

 まず、ここは風呂場だ。忘れかけるし、気にもとめてなかったが、ここは風呂場で、そして俺は裸。

 てか、俺は裸? やばくね? これ、訴えられたら人生終わるくね? 人生万事塞翁が馬と言っても、そういう問題じゃなくね?

 しかも、おっ立ってんのよ。いや、立たない方が失礼でしょ、この状況。

 だって、風呂場で、目の前の女の子は胸が大きくて、そして、しかもピッタリぴっちりの水着を着ていらっしゃるんだぞ?

 立たない方がおかしいんだって。

 ああ、あとおまけに、胸には今、鍵が刺さってるんだった。刺さってないけど。

 けど、今から俺はその鍵をとるんだ。

 てか、そう思うと、なんというか、やっぱり興奮するんだよ。当たり前の事実だろ。

 目をつぶってとるのも一つの楽しみなんだろうけど、さずがに触れるのはあかんから。

 と、とと、ととと、とりあえず、四の五の言わずに取ろう。

 この際、状況とか、そういうものは全てかなぐり捨てて、この鍵を取ることに集中するんだ。

 胸に触れずに、鍵だけを取る。

 触るのは胸じゃなく、鍵。

 そう、あくまで、俺はこれから鍵を取るのであって、この行為は正当かつ正常。

 ふぅ。


「ねぇ、ちょっと気合い入りすぎじゃない? 焦れったいと、そのおち■ち■、食べちゃうぞ?」


「今は話しかけないでッ! 集中してるから!! ここは本気で挑まないといけないとこなんだよ!」


「ああ、うん。なんか、ごめんね? ただ、まあ、触っても怒らないから、触りたかったら触ってもいいし、揉みたかったら揉んでもいいよ?」


「よくない!!」


 くっそ、なんだあの誘惑わ!! いや、まじで焦る。いや、汗出てるけども! なんなら、さっきから冷や汗と手汗で、もう風呂の中なのにベッタベッタになってるけどもッッッ!!

 とにかく、あの鍵だ。

 ゆっくりと、ゆっくりと、手を近づけていく。他の部分には触れないように。

 ごくりと、喉を少しならしながら唾という唾を飲み込む。

 そして、鍵に俺の手が触れた瞬間、ぷるんとたわわはハネタ。そして、ぽよよんとたわわユレル。

 それだけでも、眼福。

 と、そこで、初めて気づいた。というか、思い出した。

 女性は下着が二つあるということを。

 正確には、二つに分かれてるということを。

 そして、彼女は今、どちらもつけてない、と思う。

 とりあえず、確実に上はつけていない。

 このユレ具合、間違いなくそうだし、紐が見えない。

 そう考えると、大きさはなかなかに良いものだし、形もそこそこに綺麗なものをお持ちな気もするが、そこは天使だしご愛嬌。

 ただとにかく、水着を脱げば彼女もまた裸。

 俺と同じ土俵に降りてくる、いや、上ってくる? ことになるわけだ。

 というか、布一枚がこれほど強固で、エロいものだと知らなかった。

 ただでさえおっ立ってるあそこがグングン元気になっていく。

 大きなお胸は世界を平和にすると、本気で思ってしまった瞬間だ。

 そんなわけで、鍵に触れて数瞬固まるも、なんとか戻ってくる。

 けど、ここまでくると、どうしてもやりたいし、目の前のたわわ揉みたくなるのだ。

 鍵だけを取るという目的なんてものはもうどうでもよくなって、その胸に触れてしまいたい。

 そんなとき、彼女のあの甘い誘惑が脳内再生される。

『触りたかったら触っていいし、揉みたかったら揉んでいい』

 そう、許可が出ている。やりたいことをしてもいいと。そこまでは言ってないけど。

 でも、胸に関してはなにをしてもいいと言われてるようなもの。

 こんなの我慢できる方が男じゃなかろうて。

 だいたい、触るだけなら、少し手が滑るだけでいい。まさに、不幸中の幸いを装うだけでもいい。

 こんなチャンス、一生に一度あるかないかもわからない。掴めるなら、掴むしかない。

 だから、俺は手を出そうとした。

 けど、そんなこと関係なく、自体は起きた。


「ああ、もう。焦れったい!」


 そう言った彼女は、俺の腕ごと包み込むようにして、胸で挟んだのだ。

 その弾力ある柔らかな感触と、言わずもがなな胸の大きさはもう格別だった。

 まさに、喉から手が出るほど、喉をごくりごくり鳴らして欲してたもの。

 そのあまりのよさに、感動する。

 ああ、最高だと。こんなにもいいのだと。

 けど、すぐに冷静なる。

 まって。これはやばくね? さすがにヤバいよな? 相手女子高生やろうが!

 唐突の冷静に戻って、急いで挟まれてた腕を引っこ抜く。そして、運良く鍵も一緒についてきた。

 てか、これが腕でなくあそこであればと少しだけ思ってしまった。


「ああぁぁぁ……」


 そして彼女もまた、少しだけ名残惜しそうな顔で、名残惜しそうな声を出す。

 ああ、でもよかった。やっぱり、大きなお胸さんは世界を救ってくれると思えてしまう。


「とにかく、鍵は返してもらったから。ほら、とっとと出てけ」


「約束通り泊めてよね」


「わかってる。明日の朝になったら出てけよ」


「それと、そっちの立ってる方は慰めてあげなくていいの? 私が今ここで脱いで、体を見ながら、する? それとも、女子高生の脱ぎたてホヤホヤ水着を使ってしたい感じ? それともそれとも、まさかの両方だったり?」


「どれでもねーよ!」


「それじゃ、私ってこと! 私は処女なので、ヴァージンなので、お手柔らかにお願いします。あそこは固くしてて大丈夫だよ?」


「やかましいわ! はやく出てけ!」


「もう、釣れないなぁー。私に魅力がないのかと思っちゃうよぉ」


 魅力がないわけないだろっての。

 だいたい、さっきまで俺が楽しんでたんだから。間違いなく、学校ではモテるタイプだろうに。


「私としては、今ここで既成事実化してほしいんだけどー」


「だから出てけー」


 全く。これだから女子高生とやらは敵わない。

 そんなわけで、風呂場から女子高生芦之湯未空あしのゆみくを追い出し、風呂を出ると彼女は既に寝ていた。

 だから、今度は無駄に起こしたりせず俺も寝た。

 翌朝、俺は電話のなる音で目覚めた。目覚ましではない。

 朝っぱらから誰だよとか思いながら電話に出ると、


芦之湯未空あしのゆみくちゃん、そっちにちゃんといる?」


 それは両親からだった。

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