4人目 いっちょう



 今から3年前の2019年の夏、いっちょうは生まれた。

名前の由来はいっちょう→数字の1兆

初代ウルトラマンのラスボス怪獣ゼットン。その怪獣の必殺技が1兆℃の火球だった。

子供心に兆ってなに?やばくない?と心に刻まれていて、どうせなら舐められたくないという思いから、いっちょうになった…というのは建前である。


実際には、源氏名っぽくしたくなかった。ネットに触れてきた期間が長かったので、いわゆるそれっぽい名前が嫌いだったので、平仮名にして、いい意味でダサい名前にしたかった。 ちなみにウルトラマンは、それはそれで好きである。


spoonを始めたのは、当時のYouTube広告を頻繁に見て、自分もラジオ配信ができると思って…と言うわけではなかった。むしろバチくそ素人の配信を見て聞いて?なにが楽しいの?と思っていた。


 転機が訪れたのは仕事の仲のいい友達が、spoonで弾き語り配信者をやっており100fan記念だから来て欲しいと、人数合わせのように誘われて、インストールして来てよと言われた時である。


 その時、携帯一つでこういう非日常を作ることが出来るのだと思い驚愕した。そこで、自分も配信者になろう!…とはならなかった。

 そこにはこんないっちょうの考えがあった


 インターネットとは深く関わってきたし、ネット上の人とオフ会とかはしたこともあって、ネット民と会ったこともあるので、配信する事やネットという事に抵抗はない。しかし自分はどこにでもいる一般人である。そんな配信をわざわざ時間を使って誰が来るのだと。


 本当の転機となったのは11月のことだ。


 10月くらいまでは、友人のところ以外の枠に行くことも無かった。ある日、暇つぶしに大喜利枠を回り始めた。そこでその人の配信が面白いと感じて、徐々に色々な配信に行くようになった。

気付けばネット上の知り合いが増えてきて、コメントで培ったfanは100人くらいになっていた。


 ある時、同期くらいに始めた聞き専のスプーン友達が初配信をした。初配信が終わると、「俺も初配信したから、じゃあ次の枠はお前ね」の流れになった。


いよいよになって初配信する前に、それまでの聞き専時代に学んだことを活かそうと分析した。コラボもなかったから、初めて声を聞く、そんな初配信が始まった。初配信は、予想以上に人が来た。現在と基本変わらず全てコメントを読むスタイルだったため、最大コメントが25分遅れたことも思い出である。


初配信の時から、いつか大きい声は出すと思って、洗面所に籠って配信していた。回数や頻度は違えど枠中に大声を出すスタイルは3年前から変わらないので、当時のリスナーからはすぐに「奇声」と呼ばれることとなる。


・戦略


コメントを捌いたりは出来るだろうという自己分析を兼ねて、自分に出来そうなこと出来ないことを精査していった。


ハーコメは初配信から変わらない。

「ハート1丁頂きました。そのハート持って、いっちょおいらとランデブー」

ハートコメントと言えば、黒歴史になるくらい恥ずかしいものが出来ることもしばしばだが、今も肌に馴染むハートコメントを、初配信前に考えたのだから驚きである。


・持論


彼は、今までインタビューした中で1番特異な考えを持っていた。


自枠の配信自体はおまけだと思ってる

とにかく人の枠でコメントでも企画参加でもいいからバズったもん勝ち! そのスタンスは今でも変わらないという。


・タッキーとの出会い


いっちょうと言えば洗濯機だが、その洗濯機との出会いは、配信を何回かやってコメントを捌く、リスナーに突っ込みを入れるという今と変わらないスタイルの中で編み出したものである。

初回から、洗面所で配信をしていたので、突っ込みを入れる時に言葉だけではなく、目の前にあった洗濯機を叩いてみた。するとウケも良かったので現在の洗濯機に突っ込むスタイルに繋がった。公称タッキーとの付き合いも2年くらいある。ずっと突っ込みを入れ続けているが、未だに洗濯機本来の役割も支障をきたすことなくタッキーは頑張っているという。


余談ではあるが、当時はコラボ機能というものが無く、その中でコンビ配信という流行が出来ていたので周りの人がSkypeとかをサブ端末で繋いでコンビ配信をやっていた中で、いっちょうは洗濯機を相方に決めてコンビ配信をしていた。


 ちなみにもう一つ余談ではあるが、件の弾き語り配信者は今も活動を続けているが、あの時人数合わせで誘ったいっちょうが、今も配信をしている事も2000fanを超えた男になっている事も教えていないという。ぜひこれを読んで

「俺じゃん!?」となって欲しいものである。


・配信をしていて良かったこと悪かったことは?


悪かった事はない。ネットとの付き合い方や距離感で危ないことには深入りしないようにしているため。それが出来ている。spoonを昔より楽しんでいる今でも、ネットのサービスの1つという認識は変わらないので。


良かったことは縁、普通に暮らしていたら会うことの無いような人と会えたり、自分の感性に刺激を受けることもあったので、人との縁である。

全くの一般人から、こんなにもインスピレーションを得ることがあるとは最初のいっちょうからすれば、想像もできなかったが、逆に一般人ならではの距離感が丁度よく彼に未知を与えてくれる。


・配信のスタイルや印象に残ったこと


自分の枠のチャンネル(配信方法)は、一個しかないと決めている。

表立って枠タイトルにはしてないけど、荒らし待ち枠。今もそう思ってる

俺も好きにするから、お前らも好きにしろと思っている。掲示板時代からよく言えばネットらしさ、自由度を求めている。それはリスナー側でも変わらない。

しかし求めている荒らしが来ない。

ある日やっと荒らしが来た、

卑猥な名前とアイコン、卑猥なコメントを打ってくれる。やっと来たかと歓喜しつつ、普通のコメントと同じようにコメントを捌いていたら、仲間の荒らしを連れてきた。それも上手く裁けてたら、もう1人仲間を連れてきた。最終的に、3人来て3人ともポチってくれた。その時に今のスタイルのまま突き通して行こうと思った。


いっちょうと言えば、話のリズムも注目される。早口というわけでは無い。むしろゆっくりと喋っている時もある。しかし間(ま)が全くないのだ。間を埋める時に「言うてるところで」や、同じ言葉を繰り返したりしている独特な話術がある。それは半分意識で半分無意識でやっているそうだ。

間があかないが、言葉を詰め込んで無理に間を埋めてる訳では無い。

本人は、おこがましく言えば話芸の1つだと語っていた。


 それは落差やギャップと緩急に振り分けられる

普通のことや普通じゃないことの言葉の並べ方とテンポで、間を作らないことに前述のテクニックがあることを何となくでやっていると言う。それが無意識と意識の半分半分と言ういっちょうのメソッドである。そして大声、ここれもほぼ最初からで、緊張と緩和のように、大声を出すのも話術の1つに起因する。お笑いやギャグ漫画などから取り入れて、テンポを決めて、自身の見せ方にしているというので驚きだ。


・これからの理想

 最後にこれからの理想について聞いてみた。

今までの配信スタイルは、自分にとって普通の配信しかした事がない。

コラボを付けたことが1度しかない。

ファン限もした事がない。

なので、前述の通り変わった事はこれからもしない。ブレないと決めていると言う。


あえて理想といえばいっちょうというチャンネル、コンテンツは1つしかないと思っている。枠主も人間だからテンションや精神状態で枠が乱れることもある。しかし1つのコンテンツであるからこそ、ブレずに自分の配信を続けていきたいと思う。

変わらずにやっていくことがこそがいっちょうであるのだからと語った。


「あ、捨て垢から理不尽なメールは来た事ないから欲しいかも」・・・理想…それなん?


 いっちょう…彼が言う、常にブレないと言うこと、同じことを同じ様にやっていくというのは、非常に難しい事である。しかし彼はそれをもう三年やっている。


いっちょう自身が語るたった一つの大きな長所。それこそが一聴の価値のある一長なのかもしれない。

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