第5話 ネット小説は無料なのに、どこで価値が生まれてくるのでしょうか?

 今回も、眉唾モノです。

 ここからは、IR情報などの公式発表資料に基づかない、本当に個人的な意見、感想になります。


 ネット小説は無料なのに、どこで価値が生まれてくるのでしょうか?

 考えたこと、ありませんか?


 ネット小説が無料なのは、インターネット黎明期のいろいろが理由と思います。

 インターネットが始まった頃、つまり20世紀の終わり、平成ひとけたの頃、通信速度は―― ものすごーく、遅かったのです。

 何せ、ごく普通の電話回線にピーピーガーガーでデータを送受信してました。

 画像を1枚を送るのにも時間がかかるのだから、音楽や動画のストリーム配信なんて論外です。


 結果、当時流行ったホームページを作って、何をするかといえば、技術系の人たちはプログラム関係のサイトを、文芸系の人たちは日記や小説をと、テキストデータ主体のサイト作りになったのでした。


 商業作家を目指す人たちは、出版社主催の小説賞や新人賞などに、応募していたようです。なぜなら、小説賞に応募可能な作品は、オリジナルで未発表の作品に限られるから。「作者自身が管理可能かつ無料で公開されている作品は、未発表とみなす」という、ただし書きが、当時はなかったように思います。

 私はずっと、趣味勢なので記憶があいまいですけどね。


 なので、趣味勢はホームページ。商業作家志望の方は公募。という棲み分けが自然となされていたように記憶しています。


 ところが、小説家になろうさんや、アルファポリスさんなどで、異世界作品が相次いでヒットし、ユーザー作成コンテンツの小説が商業出版のルートに乗る流れができます。

 そして先行するこれらのサイトさんから遅れて、6年前にカクヨムさんが誕生したのでした。


 で、最初の疑問です。

 ネット小説は無料なのに、どこで価値が生まれてくるのでしょうか?

 

 このエッセイもどきを書いている時点で最新の決算説明資料は、2022 年 3 月期 第 3 四半期決算の分です。いまなら、IR資料のページの一番上にあります。

 この13ページに、『売上上位10 タイトルの貢献 2022 年 3 月期 3Q 累計、権利許諾収入含む)』という円グラフがあります。

 具体的な金額までは、ちょっと差し障りがある気がするので引用しません。

 金額がすごい大きいのは、確かです。

 それと、この数字は売上なので、純利益はこれよりも小さいと思うので、トリさんに「もっとリワードを寄こせ」とか言わないように。


 前振りが長くてすみません。

 ネット小説は、どこで価値が生まれてくるのでしょうか?


 私は、読者やプロ編集者さんからの評価だと思います。

 小説を書くには多大な労力と時間が必要です。だから、本当は無料とか無価値ということはないはずなのです。潜在的な価値ならあるという状態なのかも知れません。


 カクヨムコンを例に話すと、12月1日午前0時に公開した作品は、この時点では、まだ誰にも読まれていないから、潜在的な価値しかありません。でも、2月7日23時59分の段階で、もしも総合ランキング1位になっていたら、その作品には出版を検討すべき価値があるといえます。

 例えていうと、100カラットのダイヤモンドの原石だって、地面の奥深くに埋まったまま未発見の状態なら、お値段はつきません。


 カクヨムコンが、最初の1週間を除いて、ずっとランキングを掲載し続けているのは―― 潜在的だった作品の価値が、星により可視化される過程を、多くの読者と共有することにあると思います。数多くの読者が、ランキング上位の作品がどれなのかを知ることに意味があるんだと思います。


 ダイヤモンドだって、「希少な宝石」としての価値を、世界中の人々が共有しているから、価値があるのです。

 どんなに希少なモノでも、欲しいと望む人が、ひとりもいなければ、商品として成立しません。

 だから、大勢との読者が星を付けて評価したランキング上位の作品には、書籍化を検討する価値があるのです。


 ここまできたら、私がサポパスのどこにモヤモヤを感じているのか、わかりますよね? サポーターの数も、誰がサポーターなのかも全部見えることです。


 ロイヤルティプログラムのページ、商業作家を目指す方向けに掲げられた、

『少しずつ商業作家に近づいていける、そんな環境をカクヨムはロイヤルティプログラムで作ります。』

 この一文をどう解釈して受け取るか? ですよね。


 第3話、第4話ではどっちかというと、好意的なニュアンスでこの文章を考えました。今回は、ちょっと意地悪な方向で考えてみます。


 カクヨムコンでは、どの作品について、書籍化を検討すべきなのか? 読者からの星評価によって決める仕組みでした。

 ということは、サポパスとは―― 誰が書籍化作家として相応しいのか? をサポーターが決めるシステムと、考えることは…… たぶん、それは考えてはいけないことなのでしょうね。


 実は、1年以上も前に、「収益化第2弾」と呼ばれていた頃に、意見要望をあげています。その頃は、「ギフト」や「サポーター」という言葉は出てなかったので、ごく普通に、作品の一部を課金読者限定にできるシステムを想定していました。


 要望の中に、課金読者が誰なのか運営側にしか解らないようにしてほしい というのをあげています。サポパスの仕組みを考えると、さすがに作者さんには知らせるしかないのかも知れません。でも、ログインしていない第三者にも見えるのは、ちょっと公開しすぎな気がしています。


 まだ運用開始から1ヶ月も経っていませんから、どうなるのかはわかりません。

 でも、もしも、サポーターが5000人いる作者さんが現れたら、5000部は確実に売れると予想できますよね。もしかしたら、数年後には、サポパスは書籍化デビューへのファストパスに化けているかもしれないと、思うのは考えすぎでしょうか?


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