マリンファイト・25m

「はい!いよいよ最後のバトル・25m!って言っても、優勝チームは『神の領域』で確定してしまっているんですけどね………まあ、勝てばポイントゲットなので!頑張ってください!」


アナウンスさんの言葉に、選手たちははあっとため息をついた。

そりゃあ、もう勝てないんだからな。

俺もそうだったら、悲しい。


「う〜。僕、もうやだ〜」


伊織がガクッと項垂れる。

伊織は一星の熱血強制修行により、泳げるようになったはずなんだが。

やっぱり、嫌いなものは嫌いなんだな。


「それでは、選手の皆様はプールに入ってください」


アナウンスさんの言葉に、選手が続々とプールに入っていく。


「ほら、伊織。頑張ってきなって!」


一星がとんっと伊織の背中を軽く押す。

だがこの犯人は一星のため、伊織はブルっと震えてからカチコチに固まった。


「おーい、伊織さん?おーい」

「はっ!」


俺が伊織の顔の前でひらひらと手を振ると、伊織は我に帰った。


「じゃ、じゃじゃじゃあ、僕、いいい行ってくるよ」

「が、ガンバレー」


伊織の動き方が、ロボットみたいで怪しいか、大丈夫なのか?

めっっっっちゃハラハラする。


「それじゃあ、始めます!5!4!3!2!1!スタートぉっ!」


一斉にスタートする選手。

だが、さっきのレースと比べると随分ペースが遅い。

伊織のように苦手な人たちが集まっているのだろう。

それに、短い分終わるのが早い。


シュンッ!


んんん?

なんか急に15m地点から伊織のペースが早くなった!

そしてそのまま、一位は伊織!


「見事!25mの勝者は、伊織選手だーっ!」


伊織が一位をとったことに、俺たち一同は絶句した。一星以外。


「はあ、はあ、はあ〜。僕、どうだった?」


伊織がふらりと駆け寄ってきた。


「す、すすすすごかったぞ伊織!勝てたじゃんか!」

「伊織くんすごいよ!」

「すごい」

「へへへ、そーでしょお?」


俺、将生、紫苑の順番で誉めると、伊織は頭をかいた。

わかりやすく、照れている。

俺たちはそんな伊織に、思わず笑みがこぼれてしまった。


「さて!マリンファイトの優勝チームは、やっぱりここ!『神の領域』でした!ポイントが入って、日本ランク一位、世界ランク9位にランクイン!」


おおお。

日本ランクは元々一位だけど、世界ランクには初めて一桁に入ったぞ。

すっげー!


「やったね☆」

「そうだな」


パチン!


俺たちは全員で手を合わせた。


わたる紫苑しおん伊織いおり一星いっせいれん将生まさき。『神の領域』。


俺たちはやっぱり、最強チームだ!!

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絆+レベル9999=『最強』! 雨夏 @mirukukoka

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