第37話:あなたこそ真の勇者です(Side:セインティーナ①)

「あなたが、レイク・アスカーブさんですね。お噂はかねがね聞いていますよ。あのネオサラマンダーを、無事に討伐されたそうですね。あなたのおかげで、尊い命が救われました」

「い、いえ、俺は自分にできることをやっただけで……」


私はレイクさんにお会いするのを、楽しみにしていました。

封印するので精一杯だったネオサラマンダーを、一瞬で倒したという冒険者。

実際に一目見て、すぐにわかりました。

あなたの強さ、そして優しさが。

あのネオサラマンダーを倒したのもうなづけます。

私は新たなエースが生まれて、とても嬉しかったです。


「防御結界は暗号を言わなければ、絶対に解けることはありません。ですが、時間が経てば弱ってしまいます。これから私は魔力を補給しに行きます」


そして、魔族が攻めてきました。

私はレイクさんたちが入れば大丈夫だと信じていましたが、セルフィッシュと別々に行動していたんですね。

セルフィッシュが立場を利用して、レイクさんを魔族の城に連れて行かなかったと聞きました。

残念なこともありましたが、レイクさんがいてくれて本当に良かったです。


(セインティーナ様! レイク様が魔族とモンスターの群れを撃退したそうです! グランドビールは救われました!)

(それは誠ですか!?)


私はその場にはいませんでしたが、レイクさんの活躍は知っています。

あのヘカトンケイルやエビル・デーモンさえ、瞬殺だったとか。

これほどまでに強い冒険者は、私も聞いたことがありません。

魔族が攻めてきたとき、レイクさんはご自宅にみんなを避難させてくれたんですよね。

ですが、あのお家は特別な魔法がかかっているんでしょうか?

後から聞いた話だと、モンスターが次々と潰されていたとか。

私が使える魔法でも、そんな強力なものはありません。

レイクさん、あなたは相当強い方みたいですね。


「レイクさーん! あんたは最高だ!」

「一度ならず、二度も街を救ってくれるなんて!」

「救世主どころじゃない、英雄だぜ!」


レイクさんは、住民の皆さんにとても信頼されていますよね。

いくら強くても、人の心を掴むのは難しいです。

だから、私たちはあなたにお願いしたのです。


「レイクさん、どうか勇者になっていただけませんか?」

「ゆ、勇者!?」


私たちが決めたことを伝えたとき、あなたはとても驚いていました。

ですが、レイクさんが勇者になって、文句を言う人は誰もいないと思います。

それほど、あなたの功績は素晴らしいのです。


「わ、わかりました。勇者になります」


あなたが引き受けてくれて、本当に良かったです。

これで、グランドビールも、いえ、この世界も平和が保たれるでしょう。

この先どんなに強い敵が現れても、レイクさんなら大丈夫だと思います。


「やったああ! 新しい勇者の誕生だあああ!」

「レイクさんがいれば、ずっと平和だぜ!」

「俺たちは、こういう勇者を待っていたんだよな!」


みなさんの歓喜の声が、全てを物語っています。

レイクさん、あなたこそ真の勇者です。

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