第4話 大繁盛


「おいおい! 食べ終わったヤツはさっさと出なよ!」


 入り口で待ってる男が言ってる。


「おまたせしました、日替わりランチです」


 ミラがラジコン・カーのようにチョロチョロと動いて料理を運んでいる。



「ミラちゃん、今日のランチは何だい?」


 先程の男がニコニコしながらミラに尋ねた。


「えっとねぇ、今日はコロッケランチ!」


「お! 楽しみだ」


「小春お姉ちゃん、ランチ4つお願いします」


「はーいランチ4つね」


「マスター、セットのサラダ4つ追加で」


「はいよ~」


「あとコロッケの付け合せもお願いします。サラダは出来次第出しちゃって下さい。」


「はいよっ」


 賄いでコロッケを出したところ、店主とミラが驚愕し、ぜひ店で出したいと懇願され、それなら『日替わりでランチをしましょう』という流れになった。これは小春が毎日違う賄いを食べるための策略で異世界の料理ならきっとウケるはず、といろいろな料理を店主たちに試食してもらったのだった。


「ミラちゃん先のお客様のランチ、2つ上がったよ」


「はーいすぐ行きます」


「ミラちゃんそれ運んだら洗い物お願い」


「はーい」


「マスター、ここは私がやるのでホールに出て飲み物と料理のサーブお願いします」


「はいよ」


 小春がこの店に転がり込んで2週間、いつの間にか小春が『噴水亭』を仕切っている。


「ふぅ、落ち着いてきましたね、マスターとミラちゃん先に賄いどうぞ」


「ああ分かった、ミラお昼にしようか」


「やったー! 今日はコロッケだね、小春お姉ちゃんが来てからご飯が一番の楽しみ!」


「ありがとうミラちゃん、お姉ちゃんとっても嬉しいよ」


 料理人にとっての喜びは「美味しかった」「楽しみ」「また来るね」これに尽きる


《お客様の笑顔のために朝から晩まで働くのです》


 今の所、一週間のランチメニューはこんな感じ


 月曜日:ビーフシチュー(牛じゃないんだけど牛っぽいもの)

 火曜日:ハンバーグステーキ(ミンチの概念が無いから自家製)

 水曜日:タコライス(レディースデー、ヘルシーメニュー多めのスープ付き)

 木曜日:ポテトコロッケ(前日に残ったミンチを混ぜてる)

 金曜日:スタミナチャーハン(麦飯でパラパラに仕上がる)

 土曜日:ミックスグリル(余った肉をミートボールにしたり小さいステーキにしたり)

 日曜日:定休日


《ちなみに噴水亭でも軽石パンだったので軽石パンは廃止しました、代わりに麦ご飯にしました、炊飯するのに試行錯誤したけど、麦ごはんが苦手な人のために一応、小麦粉と卵と塩と水で作ったピザ生地にハーブを乗せフライパンで焼いてイタリアのフォカッチャみたいに仕上げて提供しています。どのランチにもサラダとスープ付き》





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る