第2話

 私の芸能活動は順調だった、順位も真ん中辺りをキープ、抜けていくメンバーを、泣きながら抱きしめて共感を得る。あざといと言えばその通りなのだが、チェックのスカートや胸元のリボン、エステや美容院に通ってスベスベな肌や、サラサラな髪が、それを欠き消してくれた。



「明日は新曲のイメージ撮るので、沖縄入りです」


「あ、はい分かりました」



 マネージャーの相模さんから突然のスケジュール報告にも慣れてきていた。深く帽子を被り、マスクをして、用意された車に乗ると、家まで送ってくれる。



「玲子はいいよね、順位キープ出来てて」



 隣に座るのはメンバーの一人、佐野楓さのかえでがスマホを弄りながら言ってきた。



「そんなことないよ、必死だもん」


「周りからだと余裕そうに見えるよ、いいなぁ、私なんか最下位だよ、どうにか這い上がらなきゃ、落ちちゃうよ」


「頑張ろう」



 その返事は帰って来なかった、彼女だって何千人もの中から選ばれたのだ、「大丈夫」など、根拠もなく言えない。だからといって何とフォローすれば良いのかも分からない。


 下からは常にメンバーに上がろうとする子がいる、一度地下へ落ちれば復帰は難しい、まさに天国と地獄。その状況下で人気をキープするプレッシャーは、かなりのものだ。

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