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「そこまでだ! 愚かな民衆よ、一人の少年を相手に寄ってたかってみっともない事をするな。その異端児の少年は私が貰い受ける。かまわないな?」


「なっ、勇者様…――!?」


 勇者は扉を仲間を引き連れて裁判所に現れた。そして、堂々と歩いて言い放った。そこに居た一同は皆、一瞬で固まった。勇者は少年に近づくと彼の手に嵌められた手錠の鎖をいとも簡単に外して見せた。


「いいか、この少年は確かにモブキャラだけど。他のモブキャラとは違い、自分としての強い意思がある。だから私は彼を自分の仲間として受け入れる。さあ、キミ。私について来なさい」


「ゆ、勇者様……。ボクは貴方を父の仇で斧で殺そうとしたんですよ? 何故、ボクを…――」


「キミには無限の可能性を感じた迄さ。だから、モブキャラとしての可能性の先を私に見せてくれ。それに私はキミを気に入った。だから共に魔王退治のお共をしてくれるかい?」


「はっ、はい……! ボクで良ければ喜んで――!」


 アルムは勇者の手を取ると、そこから彼の旅が始まった。ひょんな事からモブ村から勇者と共に魔王退治に旅立つと彼は無限の可能性を秘めた地平線の先へと勇者と共に今羽ばたいた。彼は最後にモブキャラ達に一筋の夢と希望と可能性を見せてくれた。どんなモブでも一生懸命頑張っていればいつの日か必ず目立つと言う可能性は彼らの胸に深く刻まれた――。



ーおわりー


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目立たせてくれ!~モブ少年の叫び~ 成瀬瑛理 @face52

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