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「おっ、お前なんて……! お前さえ、この村に現れなければ良かったのに…――!」


「はぁ…そう言われてもな。この村に立ち寄らないと次の街に進めないので、キミには悪いけど僕達は次の街に行かせてもらうよ」


『うるさい、行かせるものかっ!!』


「光のオーブさえ手に入れれば、もうこの村にはようは無いんだよ。へんに恨まれても困るんだけどなぁ」


「お前なんか……! 父さんの仇だっ!!」


「キミ、止めときなって」


「うわぁああああああーーっつ!!」


 血まみれの斧を手に勇者に斬りかかった。すると、瞬く間に持っていた斧が剣で弾き飛ばれた。


「ほら、言っただろ。止めときなって――」


「っ…! ちくしょぉおおおおおおっつ!!」


 ボクはただの村人Aでしか無いのに、雑魚の自分が主人公の勇者には勝て無いのはわかっていたのに怒りで感情任せになって勇者に襲いかかって、見事に返り討ちにあった。目立ってはイケないと言うモブ世界のルールを破った事で、ボクは勇者に歯向かった異端児としてそのあと村人達に取り押さえられた。そして、そのままモブ裁判所に連れて来られた。


「――罪人アルム。お前はモブキャラとしてこの世に生を受けながら本来のモブとしての役目を果たさずに事もあろうか、主人公の勇者様に父親の仇と言って楯突いた。その罪状は重く、我々モブ裁判会議の結果。キミの存在は消去される事に決まった。物語の主人公よりも目立つと言うのは、決して許される事ではないのだ!」


 そう言って目の前で裁判官がボクを威圧してきた。


「確かにボクはモブキャラであり、モブでありながらモブらしくなんか1つも無いです。ボクはこの村人達や、父さんや母さんみたいに絶対なりたくないです。モブだからその一生を遂げる人生なんか絶対お断りだ――!」


「お前は一つもわかっていないな。モブキャラは常に主人公の座を脅かす。脇役が主人公より目立った場合どうなるかわかっているのか?「スピンオフ」と言う脇キャラが主人公で目立つと言う異端作品が世に出回るんだぞ!? それでも主人公よりも目立ちたいのかモブキャラのお前がっつ!!」


「それでもボクはボクでありたい…――!」


『なにぃっ!?』


「モブでも脇キャラでも影で一生懸命頑張ってれば、いつかは必ず目立つんだ! ボクはそれを信じてる! ボクの一生を決めるのは他の誰でもない、ボク自身が決めてやるんだっ!!」


「なんておぞましい異端児だ! 今すぐ火炙りの刑にするんだ! 主人公の座を脅かす異端児は今すぐモブ界から抹殺せよ――!」


 裁判所は一斉に狂気に呑まれた。そこにいたモブ達は一斉にアルムを火炙りの刑にして抹殺しようと殺気立った。するとそこに勇姿が突如、扉をバンと両手で開け放って現れた。

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