不運  そして「出会い」

学校につくまでに数多の不運に見舞われた悪士であったが、学校にはたどり着けた。転校生、遅刻である。

もちろん理由は、不運である。言う必要すらないだろう。


先生の言葉である。みな、見よ。

「えーっと、悪士くん...そのー、初日から遅刻は...よくない...かなぁ?

いやー、わかるんだよ、えっとぉ、頭にガラスとかついてるし...ね?

でもぉ...うん。気を付けてね!」

この有り様である。仕方のないことだ。

そして悪士はこう発する。


「すんません!教室どこですか!」


この男、人の話を聞いていないのである。いや、訂正させてもらおう。

聞く気がないのである。


「じゃ、じゃぁ...いこっかぁ...」


悪夢学園の教師も、ここまできたら困るのである。


「運命 悪士(さだめ あくし)です!よろしくおねがいします!」

あまりに名前が怖いためか、みな、引いている。しかし、そんな中にも1人。


「おう!よろしくな!!!!!」


いかにも体育系の部活にはいっている。アニメだったら赤髪の筋肉なのだろう。

しかし、黒髪。加えて目にはヤ○ザにありそうな傷が入っているのだ。

ただ、ここは悪士。そんなことでは怯まない。

「先生!あの人の隣でいいですか!」


バカなのか。いや、正真正銘バカである。考えなど手に取るようにわかる。

守って貰おうというのだ。自分の不運から。


「じゃ、じゃぁ...強士くんのとなりでぇ...」


指示されて椅子に座る悪士。

「よろしくな!」

「おう!!」


いかにもな、おう!が聞けた。








授業中ももちろん不運は悪士を襲う。

窓のガラスを突き破り、鳥が悪士に襲いかかる。いや、突っ込んでくるというのが適切である。

理由は単純。悪士のまわりに、たまたま光るものが置いてあった。

鳥が見つけて、やってきた。


不運である。


「ふん!よし、捕まえた。」

強士が鳥を捕まえた。間一髪、悪士には当たらなかった。


「ありがとう、ホントに焦ったよ!!!」

何を言っているのか、大惨事、その上悪士は血まみれである。もちろん、保健室は免れなかった。




この男、不運である。

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