激セクシーアイドル推し活

激セクシーアイドル推し活

激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？ 一度きりの人生、楽しまなきゃ損ですよ！ #ライブ配信中 #ライブ配信 @sakura_〇〇〇 https://t.co/〇〇〇 - 2分前 — 桜子

（@Sakurako_〇〇〇）

February 15, 2020 3月も半ばを迎えようとするこの季節。

春めいてきた陽気に誘われて、私――結野嵐子は、散歩がてら近所の公園まで足を延ばしていた。

ベンチに腰掛け、目の前を行き交う人々を観察する。老若男女を問わず、皆どこか浮き足立っているように見えた。そういえば今日は日曜日だっけ……そんなことを考えながらぼんやりしていると、ふいに声をかけられた。

声のしたほうへ顔を向けると、そこにはスーツ姿の中年男性が立っていた。その男性は私に向かって爽やかな笑顔を浮かべる。そして、言った。

「こんにちは」

「……こんにちは」

私は反射的に挨拶を返したあと、男性の顔をまじまじと見つめた。年齢は三十代後半くらいだろうか。やや太めの体型で、髪には白いものが混じり始めているものの、清潔感がありなかなか好印象だった。

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

「へぇ？」

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

「なんですかそれ？」

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

「……」

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

「あの…」

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

私は呆れたようにため息をつく。

すると中年男性はハッとした表情になり、慌てた様子でこう言ってきた。

「あっ、ごめんなさい！ ついクセで！」

「クセって……さっきからずっと同じことを繰り返し言ってたんですね」

「えっと、そうなんですけどね、でも本当なんですよ！ あなたみたいな綺麗なお嬢さんに話しかけるために、僕が考えた言葉ですから！」

「……」

「あ、すみません。僕はこういう者です」

男性は懐から名刺を取り出し、それを私に差し出してきた。

その名刺には『激セクシーアイドル推し活アドバイザー・高橋』と書かれている。彼は私の隣に座ると、また口を開いた。

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

「……」

「激セクシーアイドル推し活を始めてみませんか？」

私は走って逃げだした。