最初の選択肢が現れた
「こ、これがお前のものだって、もう俺に売ったんだ!」
嘘がばれてしまい、カールは少し慌てたが、すぐに落ち着いた。
「品物が売れたら返す理屈がないだろう」
カールはせせら笑って、手振りまで交えた。
「そうじゃ!」
「そうだよ!」
酒場には概ねカールの知り合いや友達で、すぐに周りに相槌の音が攻めてくる。
私は食ってかかる衝動を我慢し、体がかすかに震える。
この時、さっき私を捕まえようとした大男は慎重にカールの耳元に寄りかかった。
「この女は魔力があるぜ。これから魔術士になるかもしれん......」
「ふざけるな、修道院のリアが魔術士になるって?」
カールは大声で嘲笑し、私を一文の値打ちもないほどけなした。
「こいつ魔法学院の入試にすら合格できないだろう!?」
失礼ですが、完璧に合格するよ、近い将来でね。
私は心の底でツッコミをはいた。
この世界では、魔力を持つ人は極めて少なく、魔術士はさらに稀で、その上の魔導士ならさらにさらに稀、指折りの数だ。
──それこそが四大魔法家が大陸で最も強い勢力である原因。
ロマンシア大陸には、多くの魔法学院が建てられている。その中で最大のランロス魔法学院は首都イカロスに位置する──これも私とベラが将来入学する学院だ。
魔法学院で系統的な魔法の勉強を受けられ、無事に卒業したら『魔術士』と認められる。『魔術士』は、全大陸での庶民からも尊敬される高嶺の存在だ。一方、卒業するまでは『魔法学徒』としか見なされないが、学徒だけでも大陸で高く見られる。
残念なことに、魔力不足などの原因で魔法学院の入学試験に合格できない場合、それは単純の「魔力を持つ子」にすぎない。たとえ巨大な潜力が秘めても、使い方がわからず、人を脅かせる力を欠き、だから『魔術士』や『魔法学徒』みたいな社会地位を持っていない。
これもカールが私を恐れていない原因だ。
彼は私が魔力を持っていることを見たが、魔法学院の入学試験に合格する実力がないと推測した。
頭に突き刺さっていた血液が、寒さでだんだん冷めていくのを感じる。
でもお陰で、頭も冷静になった。
目の前の光景に直面し、歯を食いしばる。
私には、何もできない。
カールはひどいが、理屈は確かにそうだ。リングはすでに彼に売ったので、持ち帰ることができるかどうかは、彼の手にかかっている。
どうしよう、クリスタルリングはベラの大事なものだから、取り戻さなければいけない。
悩んでるこの瞬間、金光結界再び現れ、私を包んだ。
「エキサイティングな瞬間がついに現れた!難関出現のために、プレイヤーがゲームの最初の選択肢に直面しよ!」
ソルのいたずらっぽい声が響くともに、私の前にまたフレームが現れ、いくつかの選択肢が浮かび上がってきた。
A.泣きながら逃げる
B.酒場で大笑いする
C.ゲームを挑発する
……
……???
「冗談じゃねぇよ!!!!!!」
このふさげてる選択肢を見ると、私はすぐに結界で大声で叫んだ。
「冗談じゃないよ、本気で考え出す選択肢だから……」
ソルは、不満げに抗議する。
「あんたは本気で私をからかってるんだろ!!」
「そんな訳でないじゃん」
そう言いながらも、ソルの楽しい笑い声が漏れた。
「悪魔かあんたは!」
……
……
もはや選択はない。
逃げるのは不可能で、ベラのリングをこのまま放棄するわけにはいかない。とは言っても、この場で大笑いするなんてありえないし、Cを選ぶしかないようだ。
選択肢を決めて、私はソイルに尋ねてみる。
「もし、私がゲームの挑戦をしたら、あなたは私を助けてくれる?」
「これでイカサマじゃない。プレイヤーは自分の実力で通関しなければならないんだよ」
やはり、拒否された。
「誰がこのゲームをしたいだ!!!神様とは何、『ロイヤルストレートフラッシュ』ぐらいを出してくれれば、ポーカーに100%勝てるのに!」
「だめだよ、イカサマなんて」
「じゃあんたは、ツールもチートボーナスもないこの凡人の私が、これからずっとこんな馬鹿みたいの難関に通過しなければならないとてもいうわけ!?」
「そんな、魔力ぐらいはあるよ、君は魔女になる運命が定められた人だから」
「魔女とか言うなああああああああああああっ!」
「ハハハ、これこそが本物の試練なんだ」
「もういいわ!」
この「神様」は私をからかうつもりだ、きっと。そうでなければこんな冗談みたいな選択肢を設計しない。
首を横に振って、心の中でプランを決めた後、断固と指示板にC選択肢を押した。
結界が消え、瞬間に笑い声が耳に入った。
「どうしたんだ?修道院のリアよ、怖がっているか?」
「おいおい、女の子をいじめんとはよくないぞ」
続いている周りの嘲笑の声をよそに、私は言った。
「じゃあ、ゲームをしようか」
「……え、あ、何?」
私の言葉を聞いて、カールは困惑い、だが警戒心もむき出した。
「そんなに難しく考えることはないよ。ただの金貨ゲーム」
「金貨ゲーム——?」
カールはますます疑いを抱く様子。
「そう。でも普通の金貨ゲームじゃないよ。ルールはこうだ──あなたと私は金貨一つを持ち、それぞれ片面を出し、表または裏でもいい」
私は、財布から金貨を取り出した。
ロマンシア大陸の通用金貨には太陽神殿が表に刻まれ、裏では魔法を象徴する荊棘の花だ。
「もし、私たち二人が出した片面が同じく表だったら、あなたは3点を取って、もし両方も裏の場合、あなたは1点を取る。しかし、片面の結果が正反対だったら、私は2点を取る。そのまま100回繰り返し、最後に総点で勝利を判定する」
「お前、何を企てんだ?」
カールは、更に警戒を深めた。
「なにを賭けようかな」と、私はそれを無視し、話し続ける。
「これでどう?最後に私が負けたら、あなたからの全部金貨を全部返すの上、私を好きにしていいよ、どこかに売るのも結構」
「なッ」
言わんとしていたことを先回りで持ち出され、カールは驚いた顔をした。
「でも、逆に私が勝ったら」
そう言いながら、笑みを浮かべた。
「クリスタルリングを返してくださいね☆」
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