ウイルス

 「…可動明王の仏像のご利益が、邪気を払うと聞いた時に、第六感が働いて、釈っ迦の梵っ字がセキュリティソフトに使われてるってことだから、同じような作用、喝を入れるというようなのか…しかし、本当なのか。何だって、梵っ字がセキュリティに…?」

 「リンゴ会社のジョーズが、釈っ迦と契約したそうよ。当時、ウイルスが横行していて頭を抱えたジョーズが何とかしたいと思って、力の強い梵っ字をコンピュータに流用したそうだわ。」

 「へえ…昔のリンゴ会社のパソコンは、ウイルスに感染しにくかったって宇木先生が言ってたな…」

 「その後、その梵っ字は敵に利用されて、ウイルスになってるわ。」

 えええ~!

 何だそれ!

 駄目じゃん!

 「ちょっと待てよ…確か、宇木先生が、リンゴ会社は、昔はウイルスに強かったけど、弱くなったってまさか、そういうことなのか…?前に気まぐれで、ウイルスの作り方講座を見たことがあるんだけど、セキュリティソフトと似たプログラムを使ってたんだけど…」

 「以前のセキュリティソフトを利用…もしくは、元々セキュリティソフト開発をしていた人間が、ウイルスを作るようになったようね。」

 「だから、強力で、駆除しにくいのか。セキュリティソフトと誤認識して、入れてしまう、感染してしまうんかな…」

 しかも、梵っ字で作ったものを、梵っ字で駆除してる、イタチごっこになってる…

 「馬鹿じゃないのか。」

 「そうね…だから、釈っ迦は、恥ずかしくて出て来れないんじゃないかしら…」

 「…」

 力が抜ける…が。

 「誤認識して入れてしまう…それが、人の霊魂でも起こっている…?」

 「そうね!そうだわ!」


 「前に話したよな…心を許した相手に、心を預ける、染まるって…その相手と誤認識して、敵を入れてしまう、感染してしまうのか…それを無意識…相手に預けているわけだから…無意識の領域に、強い磁力を持つ梵っ字で、プログラムを書き換えられてしまう…それが、暗示、可動明王の仏像や、まんだーらでされていること…?」

 「そうね…」

 「マントラゴラが、信号みたいなもんだと思うんだよ。電話番号毎に波長が違うから、正しい相手を呼び出せる…人が唱えるなら、その人の霊魂が電気信号になってる…そのマントラゴラの音に、中日如来を呼び出すという意味のプロトコルが含まれている…?」

 「そうね!」

 不安だから、いちいちヨーデルの人を見る。

 力強く肯定してくれる。

 美少女なのに、面倒見が良いと思う。

 「…反応が無くなった…」

 不安だ…

 「照れておるのじゃ。」

 何故だ。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る