セキュリティ

 「釈っ迦が敵なんじゃないかって考えた時に、第六感が働いて、可動明王の仏像とまんだーらが同じ状態、つまり、固定されて敵に利用されていたということは…釈っ迦の梵っ字も同じで、敵に利用されているだけということか…?」

 「そういうことになるわね。」

 「オーマイガ!」

 和洋折衷してる場合じゃない。

 中日如来から、再び圧力を感じるが、今度はシャンシャンしてこない。

 大人しく耳を傾けている。 

 いい子だ。

 頭を撫でておこう。

 ちょっと嬉しそうな感じだ。

 可愛い。

 霊体だから、手がすり抜けてスカスカしてるが。


 「mytubeで、光っ明真言を鳴らした時って、どうなってるんだ?」

 「何だか引っ張られる感じがして喚ばれるのじゃ。」

 「光っ明真言には、どういう意味があるんだ?」

 「表向きは、中日如来が世界を救うというような意味なんじゃが、隠された意味があったのじゃ。呼び出して力を貸すという意味じゃの。」

 「ふむ…素人考えで、乱暴な言い方をすると、中日如来を喚び出すっていうのは、ネットで検索をするみたいな感じ…IPアドレスが、中日如来に届く信号みたいなもんで、ルーターが中日如来を引っ張って喚び出すってことかな…?」

 「それでいいと思うわよ。」

 「ありがとう。敵に何か反応はあるんだろうか。」

 不安なのだ。

 「敵もちょっとよく分からないみたいね。」

 そうなのか。

 ちょっと微笑ましくなった。

 

 「隠された意味っていうのは、どういうことなんだ?」

 「敵の情報を読み取ったのだけれど、プロトコルと聞こえたわ。」

 「よく分からんが、通信の約束事だよな。隠されているというのは…無意識の領域に書き込まれているから…?」

 「そうね!そうだわ!無意識の領域に書き込まれているから、意識出来ないし、コントロール出来ないのだわ!」


 何か見えるわけではないこだが、周囲が静まり返ってる感じがする。

 「敵がビビっているのよ。私達も動揺しているわ。」

 俺は頭がごちゃごちゃしてる。

 根っからの文系で、理数なんか、小学生レベルで止まってるのに。

 「凄いのよ!我々では到底たどり着けないわ!ラベル科学賞ものよ!」

 おお、そうか。 

 ちょっと気分が良くなった。

 よっしゃ、行くぜ!

 「では、梵っ字について、掘り下げていくとしようか!中日如来君!…梵っ字って何?」

 「儂は、今まで梵っ字自体に意味がある、霊魂に作用出来る力じゃと思っとったんじゃ。」

 「うむ…さっきの話から考えると、無意識の領域に、その何らかの作用をするプロトコルが書き込まれた、釈っ迦の霊魂。それ自体の磁力が強い。そして、多重人格の状態になっていて、他者に心を預け、敵に操られている…可動明王の仏像には、どんなご利益があったんだ?」

 「経を唱えると、邪気が払われるようだ。」

 「邪気…」


 ’第六感ー気付きの能力’


 「釈っ迦の梵っ字は、パソコンなどのセキュリティに使われているのだそうよ。」


 えええ~

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