ペンは強し
「ま、まあ、箔をつける為とかで、歴史が書き換えられることはままあるかもしれんしな…」
「そうなのかの?」
「ま、まあ、その、次行こうか!密っ教ってのは、ほっとけ教の一流派…ふむふむ…それを日本に伝えたのが、空っ海ってわけだな。」
「違うのじゃ。儂なのじゃ。」
「え…」
「儂が唐の皇帝に、日本に密っ教を広めて欲しいと頼まれたのじゃ。」
「え…」
「空っ海は儂の弟子なのじゃ。」
「ええ!!」
宇木先生!
カチカチとマウスを操作する。
俺は宇木先生を信じてる!
「空っ海の師匠…けいしん…」
「宇木先生は儂を知っておるのか。流石じゃのう。」
「この、けいしんってのが、生きている時の、中日如来ってことなのか?」
「そうなんじゃ。日本に密っ教を伝えた時に、死んだのじゃ。偉くなりたいような気持ちが儂にあって、気付いたら中日如来になっておったのじゃ。」
「日本に密っ教を伝えに来て死んだ…?そして、その功績は空っ海のものとなってる…もしや、誰かに殺されたとか…?」
「崖から足を滑らせたのじゃ。」
「…そうか。」
「60歳だったのじゃ。」
「昔にしては、大往生じゃねえか。ええっと…高知県に墓があるな。やっぱり日本で死んだってことか。」
「誰かが、作ってくれたんじゃのう。」
「それで、けいしんの師匠は、不っ空、玄っ超…」
「儂に師匠は居らんのじゃ。」
「いや、だって、宇木先生が…待てよ、検索!…どっちも身分が高いな。けいしんの生前の身分はどうだったんだ?」
「父が官吏じゃったが、身分が高くは無かったのう。」
「…まあ、一般人が高い功績を残して、身分の高い人間が大したこと無いんじゃ都合の悪い人間が居るんだろうな。だから、身分の高い人間をけいしんの師匠ってことにしたんじゃねえか。」
「そうなのかの?」
「偉い人に聞かれたら大目玉食らうだろうけどな。」
「偉いのに偉くないのう。」
「そうだなあ。大方、空っ海の功績にされたことも、本人の預かり知らない所だろうけど、日本にとって都合が良かったのかもしれんしな。」
「そういうものかのう。今までよく分からんかったが、納得したのじゃ。」
「そんで、…3代の皇帝に師と仰がれたって…」
「用も無いのに、よく城に招かれたのじゃ。何をするでもなく、茶を飲んでおった。何で呼ばれていたのかのう。」
3代の皇帝と茶飲み友達だったんか。
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