②待ち合わせ
合コン当日の土曜日の夕方。
あたしとりりあは、少し早目に落ち合った。
市駅の少し外れに、小さな公園がある。遊具はブランコに滑り台だけで、形ばかりの砂場がある。そこはきっと野良猫のトイレになっている、と想像される。後は、
りりあをみつけたあたしは、彼女に手を振りながら小走りで近付いた。
「ごめん!・・・待った?」
「ううん。あたしも、今、来たとこよ~」
「つか、りりあ、めっちゃ気合い入ってるじゃん!」
「当ったり前じゃないの~・・・って、紅美もいつもと違うじゃん!」
りりあは笑った。
あたしは、りりあの隣に腰を下ろした。
「ところでさぁ。今日の女子メンバー、あたしの知らない人達って言ってたけど・・・りりあとはどういう関係なの?」
「軽音部の先輩だよ~もう卒業しちゃったけど!」
「え?・・・タメじゃないの?!」
「二人共、あたし達より二つ上だよ?」
「二つ?・・・社会人?」
「今年からね~」
「それ、早く言ってよぉ~~」
「言ったら、紅美、合コン断るかも知んないじゃん?」
りりあはもう一度、笑った。
「男子メンバー、会社員って事以外に何か判ってる事あるの?」
あたしは、質問の矛先を変えた。どちらかというと、こちらの方が大事である。
「んー・・・三人は、同じ会社の先輩後輩らしい」
「・・・もう一人は?」
「元々は、同じ会社の四人が来る予定だったんだけど。向こうも一枠空きが出ちゃったみたいでね~・・・幹事が知り合いに声を掛けたらしい」
「判ってる事、それだけ?」
「うん。あたしが聞いてるのは、それだけ」
「で・・・ライバルは、大人の女性、って事・・・だよね?」
「・・・だね」
「それ、絶対勝ち目ないヤツじゃーーん」
あたしは大袈裟に
「それなっ!」
りりあはあたしを指さした。
「少し早いけど・・・そろそろ行く?」
りりあは、もうひとつのベンチを見ながら提案してきた。
確かに、そこにいる物体が非常に気になる。
「そうだね・・・移動、しよっか」
公園を出て暫く歩くと、信号がある。その信号を渡り、アーケードに入る。そこから二、三分程歩いた所にある本屋を左に曲がると、裏通りに出る。かれこれ十分は歩いただろうか。三階の壁から『月下美人』と看板が突き出ているビルが見えてきた。
ケータイで時間を確認する。十八時迄、後二十分もある。すごく中途半端な時間に着いてしまった。
「ちょっと先輩に連絡してみるね」
「ぁ、うん」
てっきり文字を打つのかと思っていたら、電話の方だった。
「あっ、
電話を切ったりりあは、あたしに困り顔をして見せた。
「何て?」
「なんか、もう勢揃いしてるっぽぃ」
「えーーー?!」
「とりあえず、入ろっ」
「ぅん」
暗くて狭い階段を、あたしはりりあの後に付き三階まで上がった。
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