第2話

 「え?ぜったい食の趣味ヤバいよ…ていうかタバスコのボトルキープって何?一本150円だよ?」


 流石に止まらない。というか止めたらまずい気がする。何故か2人とも目が本気だからだ。にらみ合いではないが、見つめあっている。何?こわい


 「リツカちゃん買い出しいってきてー。必要なものは後でラインするから、近くのスーパーいってー」


 渡里がいつもの調子で買い出しの指示をしてくる。


 「え?今?今なんですかそれ?私ちょっと友達の食事事情を確認したいんですけど」


 流石に言わずにはいられない。いつもの調子で言われてもシチュエーションがおかしい。


 「時給1,200円」


 「行ってきます!沙羅ちゃんゆっくりしていってね!!私が帰ってくるまで!!どうせ客こないから!!!」



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 「それで…どういう仕事?」


 リツカが店を飛び出したのを確認して、渡里は沙羅の正面に座る。


 「リツカちゃんは知ってるんですか。このお店のこと。」


 「沙羅ちゃん次第…かな。」


 予想していなかったのだろう、沙羅の目が少し見開かれた。


 「それってどういう…」


 「いい沙羅ちゃん?この世界や私のお店は慈善事業じゃないんだ。まあ…サービス業ではあるけど。堅気な職人の回らないお寿司屋さんに子供がずかずか入って、ハンバーグ寿司を頼んだらどうなると思う?」


 沙羅は渡里の言いたいことを理解したらしく、視線を少し落とす。だが、彼女は再び目を合わせに来た。逸らすそぶりはない。


 「まあ…立場上釘は差させてもらったよ。ここに来れた時点で、君の度胸は評価しよう。リツカちゃんは、君が思ってるよりも聡い子だよ。」


 これで通じたらしく、すこし肩の力が抜けたようだ。やはりこの子も、相応に賢い。


 「ありがとうございます...。それで、お仕事なんですけど」



 「先週の日曜日、私はつづみちゃんと喧嘩しました…。今思えば本当に些細な事で。お互い少し落ち着いたところで、私は気まずくなって自販機を探しに行きました。帰ってきたときには…。」


 「ベタな展開だね。沙羅ちゃんが無事なのは奇跡だね。」


 「夜も遅かったです。それにあの周辺は、ちょっと危ない地域だったのも忘れてました。口げんかしながら、お互い歩き続けて…気づけば。ツミキちゃんのところに戻ったら、これが。」


 「彼女は預かった。警察には通報するな。お前を見ている。彼女を救いたければ、”渡し船”を探せ…。」


 これだけの情報から、私を見つけることができた。


 「ささらちゃん。君は本当に肝が据わってる。これは、私の落ち度でもある…。今回は、私のおごりだ。」



──────────────────────────────────────



 「あ、ラインきた。えーと何々、精肉コーナーでこのQRコードを見せて、以下を注文すること。れみんとんの45ACPを10箱、あめりかんいーぐるの38スペシャルを1箱」


 「…なるほど?」

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