おしかつしまくろう
野林緑里
第1話
僕は
その可愛らしい笑顔が堪らない。
毎日でも見ていられるし、ずっとそばにいたいという気持ちになる。
ずっと僕に微笑みかけていてほしい。
そんなことを呟きながらも僕は美也子にキスをする。
美也子はいつものように笑顔を浮かべながら僕を見ていてくれる。
やさしく話しかけてくれている。
大好きだよとなんどもいってくれる。
それだけで僕はなんて幸せな気分だろう。
美也子
美也子
大好きな美也子
もうすぐ会いに行くよ。
まっていてね。
僕は家を出るとウキウキした気分でいつもの電車に乗り込む。
携帯の待ち受けに写る美也子を眺めながら、もうすぐ会える喜びにみちあふれている。
もうすぐだ。
美也子の待っている駅へ到着する。
僕は電車を降りて美也子のまつ場所へと向かった。
人が多い。
多くの人が僕と同じ方向へと歩いていく。
そんなことはどうでもいい。
もうすぐなんだ。
もうすぐ美也子に会えるんだなあ。
嬉しくて
うれしくて堪らない。
やがて美也子のまつ建物にたどり着いた。
「皆さん、整列してくださーい。チケットを拝見します」
だれかがいう。
チケット?
チケットなんて必要かなあ。
ただ僕は大好きな美也子に会いにきただけだよ。
チケットなんて必要?
うーん。
「はい。チケットみせて」
男の人がいった。
チケット?
チケットってなに?
僕が首を傾げているとその男の人は僕をいぶかしげに見る。
「君はチケットもってないんだね。だったらここには入れませんよ」
はあ?
なんだよ!
それ!
僕は彼女に会いにきただけだというのにどうして入れないんだよ!
僕のなかで怒りが沸いてきた。
なんだ?
この男は何者なんだ?
僕と美也子の仲を引き裂こうとしているのか?
なんてやつだ!!
僕と美也子の仲を引き裂くなんて許せない。
許せない
ゆるせない
ユルセナイ
ユルセナイ
ユルセナイ ユルセナイ ユルセナイ ユルセナイユルセナイ ユルセナイ ユルセナイ ユルセナイ ユルセナイ
ゆ……る……さ……な……い
……………………
…………
………
……
…………
…………………
……………………………
「昨日昼すぎ、女優美国美也子さんのイベント会場にて、殺傷事件が起こりました。容疑者は都内に住む
ゆるさない
ゆるさない
美也子はぼくのもの
ぼくのもの
美也子に近づくものは
すべて
排除してやる…………
おしかつしまくろう 野林緑里 @gswolf0718
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