迷宮学園アプリ(3)

 結局その日一日、子竜は気まずくって飛鳥と話さないまま、帰りのホームルームを迎える。

 恒岡先生が教壇に立った。いつものなごやかな表情が心なし、強張っているように見えた。

「みなさん。もう事情を知っている人もいると思いますが、二年の鈴木くん、一年の森くんと曽根くんの行方がわかっていません。心当たりがある方は、先生に教えて下さい」

 飛鳥がちらっとこっちを見たような気がするけど、変に強情を張った子竜は気付かないふりをした。

「今日は寄り道せずまっすぐおうちに帰って下さい。部活動も中止です」

 ホームルームが終わると、クラスメートたちは教室を出て行く。気付くと飛鳥の姿はなかった。

(なんだよ、飛鳥のやつ……)

 子竜はスマホを見る。あいかわらず〈迷宮学園〉は残ったまま。

 今日一日、学校は色々と騒がしかった。

 まず昼休みに警察がやってきて俊一郎と昭夫、優のクラスの何人かが校長室に呼ばれ、事情を聞かれたらしい。

 そして〈迷宮学園〉の存在。警察も〈迷宮学園〉は確認済みで、三人がいる場所を特定しようとしているらしい。

(ったく。あいつら、手間をかけさせやがって……)

 子竜はバックを肩にかけて帰路につく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る