推しの為の変身
ムネミツ
推しの為の変身
正義と悪が日夜戦う世界、今日もどこかでヒーローやヒロインが悪と戦っている。
「死になさい、イエローキュート!」
何処とも知れぬ荒野にて、ドミノマスクにレイピアを持った黒い王子服姿の推定美少女のブラックフェンサーが傷つき疲労している黄色いフリルドレス姿の美少女に襲い掛る。
「そうはさせん! 我が命を賭けて、イエローキュートを守る!」
何処からともなく叫び声が聞こえ、ブラックフェンサーとイエローキュートの間に割り込むのは全身を銀の騎士鎧で包んだ謎の男だった!
謎の男は左手の丸盾でブラックフェンサーの攻撃を弾けば、ブラックフェンサーが飛び退く。
「また貴様か、ダイダーナイト!」
「……ダ、ダイダーナイト?」
ブラックフェンサーとイエローキュートが同時に叫ぶ。
「諦めるなイエローキュート、君なら勝てる!」
イエローキュートを励ます、銀の騎士ダイダーナイト。
「……うん、わかった! キュートチャージ!」
イエローキュートが叫びを上げて、周囲から光のエネルギーを自身の体へと集め出す。
「ええい、毎度毎度邪魔しに来て! 貴様は一体何なのだ!」
「ヒーローだ、お前こそさっさと改心してカラフルキュートの追加戦士になれ!」
ブラックフェンサーの剣戟を、ダイダーナイトが丸盾でいなしてイエローキュートが立ち直る時間を稼ぐ。
「ふざけるな! 私はダークカルテルの幹部、ブラックフェンサーだ!」
「違う、お前の中にもキュートな心の色があるんだ!」
戦いながらブラックフェンサーを説得するダイダーナイト。
「退いて、ダイダーナイト! 彼女とは、私が戦わなきゃ駄目だから!」
「わかった、さらばだ!」
「何っ? 逃げるな貴様!」
ダイダーナイトが瞬時に姿を消した事に苛立つブラックフェンサー。
「ブラックフェンサー、貴方の相手は私だから!」
イエローキュートがダイダーナイトと入れ替わりに、光のエネルギーを纏った拳を振るいブラックフェンサーを攻撃する。
「おのれ! またしてもこのパターンか?」
「キュートレインボーアッパー!」
虹色の光を纏った、イエローキュートのアッパーカットで天高く吹き飛ばされて行くブラックフェンサー。
かくして、今回の戦いもカラフルキュートが勝利を収めたのであった。
「今回も勝てた、けどダイダーナイトは何で私を助けてくれたの?」
自分を助けに来た謎のヒーローの事を思うイエローキュートであった。
「……ふう、今日の推し活終了っと♪」
銀の騎士、ダイダーナイトが人気のない公園に現れると変身を解除してどこにでもいる平凡な少年の姿に戻る。
「さてと、勝負の結果はどうなったかサイトで確認するか」
少年はスマホを取り出して、ヒーローの戦いのまとめサイトをチェックする。
「お、勝ってる勝ってる♪ しかし、あのブラックフェンサーは絶対追加戦士になる枠だよな?」
スマホを見ながら呟く少年、彼の名は
自分の推しの魔法少女を守るヒーローに変身する能力を持つ少年。
「いずれあのブラックフェンサーも、魔法少女になったら、誰かの推しになるかもしれないから下手に攻撃とかできいよな」
彼の力は、推しの魔法少女を守りに現れて逆転するまでの時間を稼ぐというニッチ過ぎる物であった。
「あくまでも敵は魔法少女が倒さなきゃ、俺はただ彼女を守れば良い」
ファンは推しを支える者、必要以上の事はしないし関わらない。
そんな事を思いながら家路につく守、彼の推し活はこれからも続くのであった。
推しの為の変身 ムネミツ @yukinosita
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます