第5話 Youtube テロリスト
あの時、白雪がなんで自殺したのか僕には分からなかった。
見覚えのある建物が周りを囲む世界の中僕はうずくまる。
なぁ、教えてくれよ、白雪。
『和✕、君はなんで僕を✕✕したの?』
違う。
違うんだ。
僕はあの時混乱していて――
『ごめん、言✕✕が悪かった。僕の最✕を見て、君に僕の✕意は伝わった?』
伝わった。
伝わったけど…
一体何をすればいいんだよ!?
お前に今更何を伝えればいいんだよ!?
『何もしなくていいよ。愛っていうのは見✕✕ を求めないものだから。でも、お願いがある。僕を助けて』
待て!何処に行くんだ!?
せめて教えてくれ!お前がなんで自殺したのか!
『ごめん、もう時間だから』
※
――水曜日。
「うわぁあぁあぁあぁあぁあ!!!!」
破れたプリントや教科書が散乱した部屋で僕は目覚めた。
「はぁ…はぁ…ゆ、夢……?」
もう一度眠ってしまいたい。
今になって白雪と会いたくなってしまう僕は卑怯者だろうか。
「和樹!どうしたの!?」
僕が飛び起きたところで母が飛んできた。
「ごめん何でも……いや、夢を見ていた。ずっと見ていたくなるような……」
「和樹!」
僕が続ける暇もなく母が抱きついてきた。
「ごめん…ごめんねぇ…もう大丈夫だから…母さんがいるから…」
なんで謝る。
母さんは何も悪くないのに。
「……ぁ」
僕は床に散らばった破れたプリントや教科書に目が入る。
「ごめん、もう大丈夫だから。離して」
僕の言葉を聞いても母は離さない。
「…………離せ」
「え」
驚いて力が弱まった腕を僕はふりほどく。
「ごめん、今やらないといけない事があるから」
僕はそそくさと部屋を出た。
「和樹……どうして?」
※
――2時間後、マック。
「……これも違う」
僕はシェイクを飲みながら白雪の過去の動画を確認する。
今何をしているのかというと犯人探しだ。
誰が、どうやって、白雪を殺したのか。
いや、もう分かっていたのかもしれない。
「……これでもない」
こんな事をするのは白雪を憎んでいた人物。
そんなの思いつく限りただ1人だ。
「……プレゼント企画」
このワードを見て全ての点と点が繋がる。
悪気が無いように、意図的で無いように住所を流出するのはこれしか浮かばない。
「……」
信じたくなかったけど、許せなかった。
1つの幼稚な感情が殺したのかと腹が立った。
殺さなきゃいけないと思ってしまった。
「金宮……!!」
※
――夜、自宅。
「許さない…許さない…許さない…」
帰宅中、ずっと考えていた。
今あいつが最も大事にしているものは何だと。
それを壊したい。
自分がされたのと同じように。
「……やっぱりこれだな」
僕はスマホで検索をかける。
『Youtube チャンネル削除方法』…と。
「……」
しかし出てくるのは本人自身がアカウントを削除する方法だけだった。
「……なら」
僕は検索方法を変えていった。
『他の人のYoutube チャンネルを削除する』だったり『Youtuberをやめさせる方法』だったり。
しかし出てくるのはさっきとほぼ同じ、正攻法みたいなものばかりだった。
「トップに出てくるのはこんなんばかりかよ」
何かいい方法が欲しい。
あいつを殺さないといけないんだ。
僕は現実から逃げるために「もっと見る」を連打する。
「……なんだこれ?」
その時、僕の目に映ったのはとあるサイトだった。
Youtube テロリスト
〜あなたの消したいチャンネル消します〜
※追加料金で合法的殺害も可能です。
私達は裏組織、Youtube テロリストです。
登録者数によってお値段変化しますのでよく考えてお決めになってください。
登録者 0〜1000人 5000円
登録者 1001〜10000人 20000円
登録者 10001〜100000人 50000円
登録者 100001〜1000000人 100000円
※それ以上は対象外
チャンネルの削除方法は我々独自の手段となりますので非公開とさせて頂きます。
その他は注意事項が色々並んでいるくらいで僕の理想が並んだようなサイトだった。
しかし……
「どんな詐欺サイトだよ」
僕はすぐにそのサイトを閉じた。
第6話に続く…
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